4 揚水設備
1 分流汚水ポンプ
分流幹線の下水を水処理系に流入させるための汚水ポンプです。
縦軸斜流ポンプ、渦巻きポンプなどが使用され、ポンプの流量調整ができるように速度制御ができるようになっています。
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過去、セルビウス装置や液体抵抗器による速度制御を行っていましたが、近年は、高圧用のVVVFが使用される
ようになっています。
VVVFの特徴
(1)VVVFは設置費用が高い上製品寿命が液体抵抗器に比べて短くなります。コスト回収が可能か未定ですが、省エネによるエネルギーの
削減では有利かもしれません。
(2)ブラシを持たないのでブラシの保守は不要です。
(3)VVVF故障時は、電動機がかご形であるため固定速でも運転できません。古くなるほど部品の調達に時間がかかったり、更新を余儀なくされる
可能性もあります。故障を想定し速度制御ができる同容量のポンプを2台以上配置することが必要です。
更新計画は入念に立てることが必要です。現状動作しているからと、修理・更新計画なしに長期に稼働させてはいけない装置です。
(4)液体抵抗器では、故障時の対応に柔軟性があります。巻き線型の電動機が使用されているため、ブラシの保守点検が必要ですが
最悪固定速運転が可能な構成にすることは可能です。
2 合流汚水ポンプ
合流幹線の下水を水処理系に流入させるための汚水ポンプ、降雨により水処理系の簡易処理水路から
流出させる能力を有しています。
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ポンプとしては分流ポンプと同様の考慮が必要です。
3 雨水ポンプ
雨水幹線、合流幹線の雨水分の排水を行うポンプ設置、大型であるが型式は汚水ポンプと同じです。
大型になる分、ガスタービンやディーゼルと直結したエンジン掛けポンプも使用される場合があります。
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エンジン掛けポンプの配置上の工夫が必要です。
自家発電設備による電動ポンプを駆動する場合は、設置上の
制約が少なくなりますが、建屋内のスペースが大きくなる場合もあります。
コスト、運用方法、信頼性、保守等の総合検討が必要です。
(1)雨水専用のエンジン掛けポンプ場の設備も容量の違いはあっても自家発電設備が必須です。
このため、異論があるかもしれませんが、個人的には自家発・電動機駆動のポンプ方式の方が有利
と考えています。
(2)雨水ポンプの速度制御については、全台の可変速は必要ありませんが、沈砂池や幹線の貯留容量
が少ない場合は、ハンチング運転を避けるために半数は可変速ポンプが必要と思われます。
4 軸受け方式
汚水ポンプの軸受けにはゴム製カットレスを使用した注水タイプとセラミック軸受けを使用した無注水タイプがあります。
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従来は、カットレスを使用していましたが、セラミックを利用したものも採用されるようになりました。しかし、
過去の一時期、セラミックの不具合によりポンプの緊急修理を余儀なくされたケースがあります。高揚程など振動
が発生しやすい場所では、破損などの可能性が高くなる弱点があります。今でもすべてセラミックタイプに置き換わってはいません。
維持管理では無注水の方が当然有利なため、既設更新時など徐々に広がっていくようには思います。
5 軸封水の配管類
軸封水および潤滑水のバルブ・配管類はステンレス製とします。
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経年劣化でポンプの故障原因の大部分が、軸封水関係であることから、耐腐食性の強いステンレス材
(フローリレーユニット)の使用が必要です。
6 台数制御
降雨に状況により分流・合流・雨水ポンプ等複数台運転しなければならない場合には台数制御の検討を十分行います。
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降雨強度によりポンプの追加運転を行う必要が生じます。設備規模、特性により追加運転は「手動」であったり、「自動」であったりします。
ただ、豪雨時の「手動」運転の場合は、運転員の技量や人的に余裕がない場合も想定されるため、基本「自動」運転が推奨されます。
また、ポンプの容量が大きくなってくると自家発電設備と協調して動くことが必要です。このため、時間遅れも発生するため、台製制御については
無駄時間を省く工夫も必要です。
(揚水設備制御)
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