12 高圧インバータ
1 高圧インバータの制御方式
過去、インバータの構成はメーカーによる違いが顕著でしたが、現在は入力多重巻変圧器を用いた
直列多重PWM制御方式に統一されています。
高圧インバータの技術的な進歩により、
(1)電動機にかご形が使用できる。
(2)省スペースである。
(3)高調波対策に設備の追加が必要ない。
(4)通常の容量の製作限界がない。
(5)コストパフォーマンスの改善
等が改善されたためです。
2 高圧インバータの容量計算
例
1000kWモータ(力率0.9、効率95%)を駆動するために必要な皮相電力は、
PkVA=1000kW/(0.9×0.95)=1169KVA
適合容量は1200kVAのインバータが必要になります。
なお、負荷により、力率及び効率以外にトルクに余裕が必要な場合もあるので、必ずメーカーと調整が必要です。
メーカーの構成例
3 下水処理から見た可変速制御
下水に使用する可変速制御には以下の方式があります。
(1)液体抵抗器方式
①液体抵抗器は構造が簡単、最悪「手動」起動可能
②製品寿命が長く、機器コストが安い。
③製造メーカが少ない。
④エネルギーの回収はできない。
⑤モータに巻線形を使用するため定期的にブラシ点検が必要
(2)セルビウス方式
①エネルギー回収が可能
②機器コストが高い。
③故障時の固定速運転が可能。
④液体抵抗器方式に比較して製品寿命が短い。各メーカ製造中止
⑤モータに巻線形を使用するため定期的にブラシ点検が必要
(3)高圧インバータ方式
①省エネ機器
②機器コストが高い。省エネと相殺可能かは運転頻度による。
③液体抵抗器方式に比較して製品寿命が短い。
④モータがかご形のため、ブラシ点検が不要。
⑤モータにかご形を使用した場合、故障時のバックアップ運転ができない。
以上のことから高圧インバータ方式は、
①合流又は分流汚水ポンプで常に運転している号機に適している。
②雨水ポンプは運転頻度が低くく、故障時もバックアップ運転を行いたい。
等があるため将来的にも、雨水ポンプは液体抵抗器の選定となると考えます。
なお、現在の処理場は、水処理工程で量制御を行っており、汚水ポンプが故障し、固定速号機しか運転できない場合に短期間の
運転は可能ですが、修理で長期化する場合には影響が大きいので可変速ができるバックアップ号機(液体抵抗器方式でよい)が必要です。
|