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9 廃材の利用方法
はじめに
処理場の機器は、何度も述べたように適正な時期に適正に更新や修理できれば良いのですが、現実は中々そのようには進みません。
このため、機器に故障が発生した場合にどのように修理するのかが問題となります。
一番良いのは、購入した予備品で対応できたり、修理工事ができるのがベストです。
しかし、そのように行かない機器もあります。
例えば、古い計装機器や長年使用している制御設備の制御基板等、現在は製造されていない特殊機器です。
また、汎用品であっても緊急購入や修理の事務手続き、納品までに時間がかかったりすることもあります。
処理場では毎年、電気・機械設備の修理工事や更新工事が施工されます。工事の撤去品は、有価物や産廃として処分されていきます。
ただ設備の中の一部の部品は、既設の部品として流用可能なものも含まれます。
撤去品の部品を残しておくと緊急修理に有効な場合もあります。
撤去品が有効に利用された例は、多数あるのですが以下は記憶に残っている一例です。
1 更新工事・修理工事の撤去品
(1)初沈引抜ポンプVVVF
あまたのVVVFは古くなって15年以上経過すると故障が増えます。
また、あまりに古いのでメーカーも修理部品がなく修理ができなくなります。
このため、修理工事や更新工事で撤去されたVVVFで他の系列などで稼働しているものは残すようにしています。
写真は、中古で緊急修理ができた初沈汚泥ポンプのVVVFです。
他に余剰汚泥ポンプ、返送汚泥ポンプ、雨水滞水池返送水ポンプなどなど、制御基板だけはなくユニットごとそっくり修理したものはかなりの数に上ります。
記憶に残っている滞水池返送水ポンプのVVVFは容量45kW、重量約50kgの修理は既設自立盤内から故障品を取り外し、交換するのですが
狭い盤内に取り付けるのにかなり苦労しました。

(2)初沈引抜汚泥濃度計
ある日、初沈引抜汚泥の濃度計のアナログエラーの故障が中央監視室の画面に表示されました。
調査したところ、濃度計変換器の内部DC電源ユニットの+5V電圧が出力されていない事が分かりました。
この電源ユニットはDC±15V、DC+5Vの供給用です。
正規に電源を購入するまでの期間、「過去の修理工事の撤去品」で保管していたDC+5V電源装置を流用しました。
写真は、電源装置がむき出しで美的センスはありません。紐で固定してありとりあえず機能だけでよしとしました。

(3)反応タンク電磁流量計
反応タンクへの流量(30年ものの電磁流量計)が安定せずふらつくようになりました。
最初は、「変換器が不良ではないか(手間がかからない方)」と考え、電磁流量計の同仕様の撤去品の変換器と交換して見ました。
状況は変わりません。
このため、大変ですが電磁流量計の検出器(φ400mm)の内部を調べることにします。
調査したところ、検出器内面のテフロンコーティングの一部が劣化により膨潤していました。
膨潤した場所が、ちょうど検出器の電極部分が浮き上がっていたのが原因のようです。
電磁流量計は、30年前のものです。互換品はありません。新型の電磁流量計に交換修理をすると費用と時間がかかります。
この反応タンクは近々更新工事が予定されており、無駄な費用をかけたくありません。
ただ、このままでは反応タンクの自動制御ができず処理運用ができません。
ここで威力を発揮したのが前年度に残しておいた撤去品の同型検出器です。貧乏性です。
重量があり、交換作業は大変でしたが事なきをえました。

(4)伝送路のサブステーション
「7 監視系伝送路のあれこれ」
処理場の監視系統は、計画通り中々更新できません。
更新するためには、プロトコルなど通信言語を組み直す必要があります。
このため、全てのCTRやSQC本体の更新も併せて行わなければならないからです。
こうなると、制御設備(監視系システム)の保守点検の委託企業も修理用部品の確保に苦労をかけるようになります。
過去には他都市の更新工事で発生した撤去品のサブステーションが重要な予備品になった例もあります。
制御設備が更新されるまでの時期、処理場の運営を乗り越えることができたのもこの機器のおかげです。
誠に、ありがとうございます。
ただ、今では「正式手続き上」なにがしかの問題があるのかもしれません。
「大きな目線でみると税金の無駄を省いている」と納得させています。
(5)帳票システムのハードディスク(HDD)
処理場の帳票システムも中々更新できない機器の一つです。
更新費用が大きく、やっと更新ができました。
帳票システムの撤去品の中にはかろうじてがんばってくれたHDD(稼働品)がありました。
このHDDは汎用品ではなく、古い規格のため特殊な形式をしています。
保守企業が「他都市でまだ稼働中の同システムがあり、予備品に使用したい」との話がありました。
維持に苦労している他都市を考え、廃棄後の行方は知らない事にしました。
こちらも大きな声で話せませんが、上記(4)と同じ認識です。
(6)汚泥処理CTRのメモリー基板
遠心脱水機などを制御する汚泥処理用のCTRの話です。
こちらのCTRも長年使用(20年以上)しています。
この設備は、汚泥処理集約化のため数年後には廃止される予定になっていまいした。
このため、修理コストをほとんどかけていません。
CTRのメーカーでは、このシリーズは遙か前に製造が終了し、予備基板もほとんどなくなりつつありました。
そんな中でメモリー基板が故障しました。
保守企業に問い合わせたところ日本に3枚しか予備品が存在しないとの話がありました。
このため、基板は貸し出す形のリース品とし、設備が停止した場合は返却してほしいとの事です。
この扱いは、さすがに初めてです。この基板は、貴重な品となりました。
2 更新工事の撤去品の山
既設に使用されているものを把握し、更新工事や修理工事で発生した撤去品から有用なものを選別しておくのは重要です。
(1)電気用品の撤去品では、
VVVFユニット、VSコントローラ、DC電源、特殊なリレー、制御基板、電磁流量計、各変換器、MCCB、指示計、開度計、警報設定器等々
(2)機械用品の撤去品では、
電磁弁、ステンレス製のバルブ、逆止弁、スカムスキマーシリンダー等々
ただ、ほとんど利用できないものを残しておくと廃材の山ができます。
人により、貧乏性との意見も出ます。残されたものの片付けができず処分が大変です。
こちらはなるべく残しておきたいとの考えがあり、よく摩擦がおきます。
また、残した機器の内容(台帳が必要)も知っていないと残した意味がありません。
重要設備が故障したところに、そこにあって「ありがとう」というものもありますが残したものの8割ぐらいは利用されずに
廃材にちかずいていきます。
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