水処理プラントの管理


トップページ 1 設備 2 制御 3 設計・施工 4 故障・保守 5 雑談 6 余暇
 

 雑談 (2 技術?)

8 変圧器のエージングの思い出


予期せぬトラブル

ある処理場で特別高圧受電設備の更新工事が終わりに近づいた頃です。特高変圧器の等価負荷法により温度上昇試験を実施中の話です。


温度上昇試験

電気工作物の機器及び材料が、規格に定められている温度上昇限度を超えないことを検証する目的で行われます。
試験は、機器又は回路毎に定格電流を流し、各部の温度上昇が安定した値から判定するもので、試験の方法としては実負荷法や等価負荷法などがあります。

(1)実負荷法は、変圧器、遮断器及び開閉器などの定格電流(容量)に相当する抵抗負荷を接続して試験を行います。 しかし、試験する機器の容量が大きい場合、それに伴う大容量の試験電源や大型の抵抗負荷装置を確保することが困難な場合があります。

(2)等価負荷法は、変圧器の場合、抵抗負荷を使わずに変圧器の二次側巻線を短絡し、一次側巻線から電圧を徐々に上昇させて、 定格容量に相当する電流が流れるように行います。
この場合は、変圧器の定格電圧より低い電圧で試験をするため、試験電源の容量が少なくて済むメリットがあります。
そのため、現地試験においては等価負荷法が一般的となっています。
                                  技術資料より引用



準備を行い、正午近くから試験が始まりましたが、概ね8時間程度かかる試験です。 立ち会い試験は、先輩(ある先輩)とともに2名で対応していました。

試験自体は順調でトラブルもなく行われていました。

夕食時間となったため、処理場の当直者を含めて夕食をとっていました。

食事を終えた頃、処理場に警察から電話がかかってきました。

話の内容を要約すると、
「処理場の管理しているケーブルが道路に垂れ下がっているので何とかしてほしい」
とのことでした。

とりあえず、状況確認のため処理場の当直者と3名、タクシーで現場確認に行くことになりました。
現場に着くと、信号機の修理で業者が作業を行っている最中でした。

警官から内容を確認するまでもなくあたりを見回すと クレーン車が信号機に引っかかり、その影響で処理場のケーブル(ポンプ場の遠方監視用)の固定用フックが破損し道路上2m位に垂れ下がっていました。
幸い、切断される状況ではありませんでした。
そういえば当直者から遠方監視ができないとの話もありませんでした。

当時の遠方監視ケーブルは現在の光ケーブルとは違いかなりの重量があるため、電柱に登り、簡単に引き上げることができません。
このため、高所作業車で信号機を修理している作業員に、とりあえず、道路上で通行に支障がないようにお願いしました。高所作業車を使って、電柱のステップにひっかかけて頂きました。
固定をしていないので、少し強い風が吹くと落ちそうな感じですが、とりあえず車の通行には支障がないようになりました。
作業的にはこれ以上何もできないので、処理場の管理責任者に連絡しその後の対応検討してもらうことにしました。

頭が切り替わらないなかで処理場に戻り、温度上昇試験を終了しました。こちらの方の記憶がないので順調に終了したように思います。


後日談
当然、遠方監視ケーブルの修理が完了したようです。
それまでは小さな紆余曲折があったようです。
滅多にない故障だったので修理の手配、道路の作業許可などなど組織的になれない手続きが続き 面倒だったようです。
ただ、今回はケーブルの切断を免れているため、幸運だったのですが、監視ができなくなると早急な人的対応が必要です。 このことを考えるとやはり緊急時でも即応できるNTT等の通信事業者など餅屋は餅屋にたのむべきとの思いを強くした出来事でした。



補足
自前の通信ケーブルを架空ではなく下水管にするケースは多々あると思いますが、架空よりもさらに維持管理、特に断線が発生すると修理までの期間が 見通せないことがあります。自前の通信ケーブルは通信容量に左右されないため一見よさげに見えますが大きなリスクがあります。

(11 中央監視制御設備 6 伝送路の自営線と公共回線)
(4 設計異話『自分で工事いやなもの』)
(13 大型無人ポンプ場の監視)



           
Copyright © 2021 水処理プラントの管理 All rights reserved.
by 水処理プラント設備の管理