水処理プラントの管理


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 設備 (中央監視制御設備)

11 中央監視制御設備


少人数で設備全体が監視・操作でき、また信頼性向上のため各設備の制御は個別に行い、1カ所で集中監視できるようになっています。いわゆる、 分散制御集中監視方式です。


中央監視制御設備は、従来、プラント制御専用機器を使用してきましたが、情報処理系にはイーサーネッ ト機器やパソコンを使用するようになっています。



情報処理は格段に進歩しています。英語やカタカナベ ースの表現、単色の表示が高精度な画面になり、漢字が表現できるようになっています。データの取り出 しも昔はキーボードで入力したものですが、パソコンに直接データとして取り込みができるようになりま した。



1 中央の集中から分散化
Sinplex、DupLex、負荷分散等の専用の工業用計算機が使用されいましたが、徐々に中央監視制御装置が 分散されるようになってきました。
これは、信頼性の向上と各処理装置の小型化や能力がアップしてきたことによるものです。
各制御装置を分散化することによりプラントの故障時影響の小さくできます。ただ、プラントを効率よく運転するためには監視制御については情報の統合が重要となります。


2 機能分散から個別分散へ
当初は、工業用計算機で監視制御・帳票等の作業をすべて行って居ましたが、その後、監視系と帳票系と分けるようになってきました。 個別制御機器の処理能力が増加するに従って両方の機能を1組の監視制御装置で持ち合わせることになっています。 ただ、小規模の処理場の場合は、この装置(2組)でも良いのですが、大規模の処理場では個別系ではなく、 監視系を2組×設備系統(信頼性の向上)と増やしており、また帳票系を別置きにして帳票の付加価値をあげることができるように構成しています。

3 中央監視装置のソフトウエア
UNiXからwindowsへ
システムの汎用化にともなうコスト優位により、 監視用ソフトウエアは、当初のUNIX系のソフトウエアからWindows系ソフトウエアが主流となっています。
アプリケーションの開発環境も汎用系ソフトウエアが使用されるようになっています。
今後もこの流れが止まることはなく加速されることになります。

4 データ伝送路の変化
同軸から光へ
今では、当たり前の光ケーブルですが、30年以上前には、同軸ケーブルが使用されていました。
昔、同軸ケーブルの伝送路で通信異常がたびたび発生して、その原因調査に膨大な時間を要しました。2年以上たって 判明した原因は、コネクタの半田付け処理不良という落ちがありました。現在の光ケーブルではどうでしょう。

5 伝送路のプロトコル
伝送方式の変更独自仕様からイーサ-ネットの世界へ
コストが下がるのと同時にセキュリティーという厄介者がやってきました。

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中央監視装置とのデータのやりとり
(1)時系列駆動方式(サイクリック通信)
時系列駆動方式は、一定間隔で列車編成のように伝送路のデータを吸い上げ来て中央監視装置に データを渡す方式
メリット
一定間隔で、データを伝送するので通常運転時にデータラッシュが発生しない。
デメリット
設備増設時、データ伝送の長さ(列車の編成)が当初の計画していない設備増設などが発生すると、 データ伝送の大幅な見直しが必要になります。
また、伝送路の制御機器はメーカー独自開発が多く、システムが高コストになります。

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(2)イーサーネット方式(イベント駆動)
現在のインターネット伝送方式と同じになります。
データに変化(イベント)が発生するごとに、データ伝送要求が無秩序に行われます。
メリット
現在のインターネットの技術を取り込むため、機器の技術革新やコスト削減の効果が大きい。
デメリット
通常運転時でも、多くのデータの変化があると、ラッシュが起きやすく、データ伝送速度が変化します。
ベストエフォードともいいます。リアルタイム通信など、厳密な時間制約がある制御には向きません。
世界共通の技術のため、コンピュータウイルスによるプラントシステム不具合等のリスクが増大します。

(3)今後
伝送路のシステムをどのように構築するか、どの方式をとるかの選択がありそうですが
現在は、開発スピードとコストからイベント駆動方式(イーサーネット方式)が主流となっています。

①伝送路のスピードの大幅な向上から、データラッシュによる時間遅れもほとんど発生しないようです。
ただ、コンピュータウイルスの対策は今後、最大の重要点にななるかもしれません。
対策としては、
プラントシステムを直接インターネットに接続しないことが一番の対策ですが、つなげるメリットとのトレードオフになります。 接続する際のファイヤーウォール、ウイルス対策を厳重に行う等難しい問題が新たに生じることになります。

②機器をベンダーで構築することが可能です。
コストパフォーマンスを目指したプラント監視システムの構築が可能でシステムの柔軟さもあります。
ただ、不具合が発生した場合、どの機器の影響かの調査は、伝送信号のすべてを把握した責任主体のメーカーが存在しません。
散発的に異常が発生する故障の場合は、どこに原因があるのか自分たちで推測せざるを得ず原因究明が長期になり、 その間のプラントの信頼性が低下することとなります。
逆に完全に故障してしまえば対応しやすい状況です。
プラントシステム全体として構築せず、寄せ集めの汎用機器としてシステムを構築することは可能です。しかし、ひとたび故障が発生し始めると 製品単品は「正常です」とのメーカー見解に陥ります。
③システムの冗長性の構築
多重重系システム構成や、電源系統の信頼性については、どのように確保するかが重要になります。

6 伝送路の自営線と公共回線
下水の各設備の監視制御を行うための伝送回線については、自営で布設する考え方と公共回線を使用する方式が考えられます。
(1)公共回線
①回線使用料がかかります。費用をかけずに構築することも可能ですが、信頼性は低下します。監視対象施設との距離はほとんど関係がありません。
②メンテ費用等の設備投資は必要ありません。 物理的な断線が発生しても保守担当部門があるため、補修速度が速くなります。また、迂回ルートがある場合は影響がありません。
③公共回線のため、セキュリティーレベルは低下します。
(2)自営回線
①伝送路の回線が多くても通信コストが増えることはありません。
②伝送路の布設設備費用は、布設の計画状況により高コストになる場合があります。監視施設との距離がある場合はさらにコストが上昇します。 ポンプ場との伝送回線を考える場合、既設の下水幹線に布設する場合と新規に幹線を布設し、付属設備として布設する場合では、施工費用や特に工事の難易度にかなりの違いがあります。
また、メンテ費用も自前補修となります。断線が発生すると自前で修理が必要となります。迂回ルート等の対応はできません。

(4 設計異話『自分で工事いやなもの』)


7 汎用のモジュラコネクタの多用
(1)耐久性
モジュラコネクタは、挿抜による接触不良や、物理的な衝撃による損傷、雰囲気による腐食による伝送信号の異常等の問題が生じる可能性が高い。
この手の故障は、見つかるまでは、原因不明の故障となります。
(2)信号品質の劣化
高速伝送や高周波数信号の場合、信号品質が劣化することがあります。
(3)セキュリティの低下
汎用のモジュラコネクタは、接続が容易であるため、セキュリティ上の問題 が生じることがあります。例えば、不正な接続による情報漏洩や、外部からの不正アクセスが考えられます。


8 互換性
メーカーがともかく、年代の違いで会話ができない監視制御設備
処理場は、一度にすべての設備が完成することはありません。このため、処理場の全体設備が 完成するまでに20年以上となることも珍しくありません。

9 ドッグイヤー
各機器でCPUを組み込んでいる機器の、製品寿命は短く、5~10年となります。
しかし、処理場で使用される監視制御設備のコントローラ等の耐用年数は10年、目標となると20年となります。 このため、10年を目処に順次更新計画が必要になります。しかし、計画通り予算が付くことはありません。
機械設備の寿命が倍以上となり、更新サイクルが合わないためです。








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