1 ある先輩
建設部門で一緒に仕事をしたある先輩にはいろいろ教えてもらいました。設計について知識が豊富で、設備の基本的な役割や機能、仕事の進め方です。
そのとき初めて設備の「設計思想」という考え方も教わったと思います。
その先輩の話です。
建設現場用の設備が工場で完成し、工場出荷となります。出荷前に、設備が指定通りできているかの確認検査
(製品検査)を行います。今では、機器に実績があり、製品検査をほとんど行わなくなりました。処理場の建設期には
数多くの製品検査がありました。
年度末、先輩と製品検査に同行した同僚Aの話です。お昼になり、メーカー側が昼食としてお寿司を用意していたそうです。
この際、まじめな先輩は「食事は外でしますので」と丁重にお断りをしたそうです。
その時、同僚Aの割り箸はすでに二つに割れていたそうです・・・
あるとき、先輩と別の製品検査に同行することがありました。同僚Bの奥さんがJTBに勤務されていたので、
切符、ホテル等の手配をお願いしましたが、先輩が、「できるだけ安くしてほしい」と要望したようで男ふたり
でツインの部屋となりました。
夕食後、先輩は、コップを壁に当てて、聞き耳を立てていました。理由は不明?
検査終了後の帰り際に、メーカー側からテレホンカード(古い)の粗品がでましたが、「そのお金がありましたら是非、製品の金額を
安くしてください」とお願いし、返却していました。
実直で、山好きで、のんべえで、話し好きな先輩。
先輩とは、退職後も山登りをしたいと思っていましたが、残念でならないのですが退職間際に癌で急逝さ
れました。(享年60歳)
閑話
先輩と雑談している際に「優秀な設計者とはどのような設計者と思いますか」と質問がありました。
こちらは、「知識が豊富で、いろいろ検討できる設計者」と当たり前のことを答えたように思います。
しかし、先輩は、「よく寝られる設計者」と答えていました。
こちらは、先輩が読んだ本の受け売りだそうです。
確かに、設計で悩んで寝不足になり、頭がふらふらでは設計どころではありません。
|
|