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6 訓練と実践
作成 2026年 3月18日付
1 訓練の現状
鉄道、道路、化学プラント、電力、商業ビルなど、多くの施設では、それぞれの特性に合わせた訓練が実施されています。
訓練の内容は、防災訓練、火災対応訓練、防犯訓練など多岐にわたります。
また、一般の地域社会においても地震・津波を想定した訓練が行われています。
処理場にも、以下のような災害を想定した訓練等が想定されます。
(1)梅雨時を前に、大雨時の排水訓練
(2)9月1の防災の日に合わせた訓練
(3)その他、処理場の設備に合わせた訓練など
小規模な訓練は比較的身につきやすい一方、規模が大きくなるほど内容の定着が困難になります。
多くの防災訓練が綿密なシナリオに沿って実施され、予定調和で終わってしまうことも原因の一つかもしれません。
シナリオのないような想定をしてしまうと、訓練自体が成り立たないからです。
しかも、訓練が行われるのは平日(勤務時間)です。
考えると平日と言われる時間帯は1年の内で概ね「25%」程度です。
となると、それ以外の時間で災害が発生する確率が「75%」にもなります。
こための訓練を行う必要がありますが、夜中に訓練を行うと考えるとなかなか現実的ではありません。
このため、必然として職員が全員出勤している時にたまたま災害が起きたような訓練になります。
世の中の訓練もテレビなどで行われているのを見る機会がありますが、予定調和が過ぎて実践には使えない部分が生じているようにも思います。
もちろん、すべての訓練を否定するわけではありません。
「訓練は、やらないよりやったほうが良い」という点には異論はありません。
消防署・自衛隊・警察など、専門機関の訓練は業務の延長であり、訓練=実践に近いレベルにあります。
しかし、一般の職場ではそこまで業務化することは困難です。
訓練を定着させたいのであれば毎月行うぐらいの頻度と熱意が必要かもしれませんがこれも忙しい業務の中では現実的ではありません。
身につくのに毎月行う必要なものとすると、年1回の訓練ではとても身につくところではありません。
中にはできる人もいるかもしれませんが、たぶんほとんどの人は、そのように器用ではないでしょう。(自分)
2 あえて訓練を行うならば
個人的には、まず現場でいきなり訓練を行うのではなく、参加者全員で災害時のシミュレーション(机上訓練)を行っておくことだと思います。
「4 故障のシミュレーション」
これは災害のイメージを合わせるためでもあります。
災害を考えるレベルは人それぞれで認識にずれがあります。
単に、停電といっても電気が来ないだけなのか、電気設備が目に見える状況で破損している場合もあります。
そもそも施設内で移動ができるのか。それによりできることが大幅に違うはずです。
実際の行動をどのように想定しうるかです。
(1)どの規模の災害で、どのような被災が発生したか。
(2)夜間や休日の少人数でも対応可能なか。
(3)連絡が取れず指示を仰ぐ事ができない場合の行動範囲
(4)資材や機材のどこにあるりどのような作業をすべきか。すべきでないか。
(5)それでどこまで対応できるのかなどです。
(6)設備の破損、重要な機器の対応方法
これを最初に行っておくことにより初めて訓練が実践としての機能します。
まずは、個人の「災害意識」を高めることがなにより重要です。
と、ここまで書いてハタと思考が停止。
職場にはいろいろな考えの持ち主(多様性)があります。
まじめに参加する人、とりあえず発言する人、その時間を別次元で過ごす人、等々。
シミュレーションと言っても話にまとまりがなくなると大きな談話室ようになり、全体の防災意識が高まらないで終わりそうなことに気付きました。
3 災害は待つものではない
ということで、訓練を「特別なもの」にしないで日常の中に防災意識を組み込むことが重要との考えに変わってきています。
緊急時の対応が苦手な日本人としては事前の準備をしておく事が最善の方法となります。
日常の業務から見直しを行い対策をとっておく事です。
福島第1原発は大事故になり、建屋が吹き飛びました。
事前に災害対策訓練が実施されていたとのことですが、国の調査委員会の報告書を読むと「それがどれほど役に経ったのだろうか」の疑問が湧いてきます。
それでも、現場や設備を熟知した作業員の決死の努力があったり、重層的な防護設備があったことで、さらなる最悪の事態まで至らなかった・・・
例えば、地震発生後、津波危険地区にある介護施設などから津波防災タワーに車いすを押して避難するには限界があります。
そもそも津波リスクのある地域に公共施設を建てず、高台に立地させるべきでしょう。
既存の施設では、移設を計画をします。
なお、この対応には日常の利便性と災害時の安全がトレードオフの関係になる場合が多く、災害発生前に前進できるかは微妙です.
4 処理場の場合
処理場に例えると、日常業務と設備を理解しておくことが重要です。
日頃、分からないのに災害で役立てることは無理でしょう。
処理場の設備的には、日頃から災害を検討し「地道に」設備を再構築していきます。
日常の通信網が使えないとの認識があれば新しい通信方式(衛星通信など)を配備できないか関係部署と協議します。
必要と考えるなら予算措置を講じる必要があります。
設備内容を日常から把握していれば、災害時にも応急対応が可能です。
地域の電力網の停電が想定されていれば自家発電設備の燃料が確保できていなければいけません。
「9 自家発の燃料タンク」
これらが揃って初めて、想定外の災害にもアドリブで対応できると考えます。
災害時は、社会、組織そして自分の持てる力が試されます。

5 災害発生時の組織体制
現在、現在の災害時の組織体制は通常、正常時(名称が変わる)とほとんど変わりません。
危機管理時の管理・連絡方法もツリー系統になっています。
しかし、この系統は大きな災害発生時に簡単に破壊されます。
「3 緊急事態の対応」

ツリー系統の連絡を確保するには、災害に強い通信設備が必要です。逆に被災した場合でも指揮系統が確保できる組織体制も重要です。

全てはコストに通じる
以上は、日頃訓練に対して持っている考えですが、中々実践できなかった理由は多大なコスト(手間を含む)に行き着きます。
よく、「災害が起きるともっと準備をしておけば良かった」となります。
また、「想定外」の言葉も飛び交います。
しかし日常では、私たちは災害への対策も一生に一度あるかなしかとなると最小限のコストで済ませようと考えがちです。
「7 合理性と不合理性」
高層ビルは耐震基準を満たしているから十分大丈夫となりますが、基準とは「想定」される最低限を満たすものです。
人々が考える安全へのコストは、被災後の教訓を元にいつも見直されています。
ただいつも後手に回っている印象は、豊かに見えても社会コストに常に余裕がなく、現状を追認していることの現れということです。
いつ来るか分からない災害に対して大きなコストをかけるより、日常業務を維持することが優先されます。
本当に巨大地震が来ると確信しているならば、東京一極集中とこんなに多くの高層マンションが建たないはずとも考えます。
災害大国の日本としては、心許ないのですが致し方ない現実です。
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「天災は忘れた頃にやって来る」寺田寅彦
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