4 故障のシュミレーション
昔と比較して、設備の故障がかなり少なくなった気がします。
設備の更新が進み信頼性が上がり、重大故障もほとんどありません。
いいことです。
昔は、設備も古かったせいかたびたび故障が発生していました。
そのたび原因を調べ、対応に頭をひねっていました。
SQC・CTRの基板が壊れても、直ぐメーカー呼ぶのではなく、まず電話で話を聞きながらの対応(まさしくオンコール対応)でした。ちなみに携帯がないので、
現場で電話機のケーブルを相当延長していました。
自分たちで基板をかえたり、プログラムの入った、今では骨董品のカセットテープやフロッピーディスク(5インチ)で何度も失敗しながら再入力していました。
シーケンス回路の不具合も自分たちで改修していました。
現在、電子機器の製品サイクルが短く、部品のサポートがされないケースが多いため、修理・更新サイクルが早くなっています。
このため、設備全体が古くなることはありません。当然、経年劣化の故障も少ないことになります。
しかし、これと歩調を合わせるように現場の保守技術は低下してきているように感じます。
CTR、SQC、伝送装置等の監視制御装置の故障は自分たちで修理することはほとんど無く、直ぐメーカー対応になります。
ただ、故障の数は減っても故障がなくなった訳ではありません。頻度が希な重大な故障が起こった場合の対応の経験が少ないので、
対応ができなくなって来ているのではないでしょうか。
『安全の敵は安全』
たまにですがプラントシステム全体に影響を及ぼす重大な故障が発生することがあります。
そのときの対応は、たぶんスムーズとは言いがたい対応になるように思います。
故障が多いと仕方なくあるいは強制的に、勉強させられることになります。みんな等しく当直時に自分で故障に対応しなければならないからです。
故障が少ないと故障に対応した経験のある人と、ない人の差がプラントシステム全体に及びます。
応急対応ができなかったり、被害を広げてしまうかもしれません。
これを補うため、当直時や暇なときに頭のなかで設備を壊してみることにしています。
「故障のシュミレーション」です。
この設備やあの設備が壊れた場合、どのように対応したら良いのか。
①予備機の運用をどうすれば良いのか?
②プラントの何の操作が必要となるのか?
③どのようにすれば運転が継続できるのか?
④現状維持がどのくらい可能か?
⑤継続するためのボトルネックは何か?
⑥どこの部署に連絡しなければならないか?
これを行うことにより、
①手元に最低限どんな資料が必要か、何を整理しておくかがわかります。
(今は、スマホにデータ保存)
②操作する機器の場所の把握。
(日常点検時に確認)
③何人の作業員が必要か。
④燃料であれば、燃料の緊急調達方法や燃料の使用を押さえる最低限の運転の方法
いろんな設備を壊しましたが
難易度が高いのは、
①流入ゲートが閉まった状態で開かなくなった。
②特高受電設備の遮断器の開閉操作不可、特高変圧器が壊れた。
③最後に外部との連絡ができず孤立するような地震時の対応
などです。
地震の場合の対応のイメージがなかなかわきません。連絡方法。長期化。施設のダメージ。電気の確保は。自家発の燃料確保は。
そもそも設備の運転がどの程度可能なのか。
イメージが膨らみますが対応はなかなか難儀です。
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