水処理プラントの管理


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 設計・施工 (3 電気設備)

24 コントローラ点検時の改善事例


中央監視制御装置はじめ、各制御機器は製造メーカの細密点検を定期的に実施しています。
(中央監視制御装置は毎年、コントローラ(CTR)(などは隔年毎)
同点検は、各制御機器が故障した場合の影響が大きいことにあります。

しかし、この細密点検は、中央監視制御設備は多重系になっており影響はほとんどないのですが、各設備のCTR等の点検では停止を伴います。(故障でもないのに故障時と同じ状況)
このため点検対象設備は点検中、中央監視制御設備では監視できず、また通常運転ができなくなります。
受変電設備、揚水設備、送風機設備、水処理設備、ろ過水・滅菌設備等のように停止できない設備では機側(現場)運転で対応を行う必要があります。
この養生作業は設備によっては手間のかかる場合であったり、手順を間違えると機器を損傷させる場合もあります。
今回は、処理水再利用設備のCTRの点検で何とか作業を簡素化したいために改造を行った事例です。

1 ろ過水送水ポンプ用の仮設シーケンス回路
処理水再利用はCTR点検時もの処理場全体にろ過水の給水が必要です。
この処理場は、西側施設高架水槽、東側施設高架水槽にろ過水の補給が必要となっていました。
ろ過水送水ポンプを機側で定期的に運転する必要がありました。
これを少しでも改善したいというのが今回の仮設シーケンス回路です。

2処理水再利用設備の通常運転の状況
(1)ろ過機、1台運転(ろ過水量1m3/分)       3時間に1回程度、約60分運転
(2)№11、12ろ過水送水ポンプ(西側施設高架水槽)2時間~3時間に1回程度、約10分程度
(3)№21,22ろ過水送水ポンプ(東側施設高架水槽)50分に1回程度、約20分程度
(4)ろ過水受水槽の有効容量 約500m3

正常時の処理水再利用CTRの制御


3 点検時の従来のろ過水送水方法
従来の点検時の作業手順は、概ね以下の通りです。
(1)点検前にろ過水受水槽を満水にしておきます。
これにより、点検中のろ過機の運転制御の必要性はありません。
(ただ、コントローラ故障時等のような異常時は、レベルにより機側運転が必要かもしれません。)
(2)各高架水槽に合わせてLレベルからHHレベル(運転回数を減らしたいため)の範囲でろ過水送水ポンプを機側運転します。
高架水槽の水位は、各別の建物の屋上に設置されているため直に確認するのが大変です。
このため、処理水再利用制御室に取り付けられた補助継電器の各高架水槽補給水のLリレーとHHリレーの動作を確認します。
この動作によりろ過水送水ポンプを機側で運転・停止を行います。
(途中から機側盤内の61フロートレスリレーを動作ランプ付き変更したので機側盤で確認は行えるようになりました。)
(3)点検時間中は各高架水槽に対して4~5回の頻度で実施が必要です。


以下の着色部分を自動化


4 今回製作したバックアップ回路の仕組み
運転条件は、
(1)各ろ過水送水ポンプ用現場盤内の「CTR異常」スナップスイッチをONにすると、「常用」で「先発号機」の送水ポンプが自動運転します。
(2)高架水槽の運転範囲は通常運転を同様にLレベルからHレベルまでです。
(3)通常運転のように故障時の予備機の運転はできません 。
(4)ろ過水受水槽水位のLLレベルでポンプは停止はできません。
LLレベルのインターロックをとることはも考えましたが、直営なのでそこまでの必要性がないと考え今回は作成しませんでした。


実際の現場盤


既設現場盤(機側盤)内に高架水槽の水位検知用の61フロートレスリレーユニットが収納されており改造が行いやすい状態であった。


改造内容
(1)補助リレー(RX)を追加し、内部配線(赤色)を布設します。
(2)電気室とのコントロールセンタと信号のやりとりが生じるため、現場盤と中継端子盤の多芯のCVVケーブルの予備線を利用します。
最近は、コスト削減で予備線がほとんどありません。昔の設備なので利用できる予備線が充分ありました。


完成状況ですが、プラントメーカのようにきれいな配線にはほど遠いですが、機能は十分発揮しています。


5 後日談
その後、10年以上経過してから処理水再利用設備(ろ過機本体を含む)が更新され、 これに併せて電気設備(コントローラ、コントロールセンタ、制御盤、現場盤を含む)が更新されました。
このため、仮設回路は消滅しましたが、珍しく正規シーケンス回路の機能として新盤には引き継がれたようです。


コントローラ点検

(1)CTR点検時の機器の運用手順書
実際にCTRが故障したときの対応手順ともなります。
熟知しておくことは、まれなコントローラ故障時に大いに役立ちます。
(4 故障のシュミレーション)

(2)CTRと補助継電器のソフト・ハードシーケンスのバランス
ソフトシーケンスとハードシーケンスの組み合わせをどのようにするかはシステムの信頼性にも大きく左右する問題です。
CTRに信号を上げるだけで全てをハードシーケンスにすれば故障時に信頼性を確保できますが費用、設置スペース、 シーケンス変更への柔軟性、工期にかかわるため難しくなっています。
そのため、設計時のバランスが問われます。
経験上、「設備毎にどのくらいにすべきか」については、各設備で一部記載したものもありますが、 個人的な感想を含め後日もう少し整理(馬力があれば?)して記載したいと思います。
(5 プラント管理者の経験値)





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