水処理プラントの管理


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 故障・保守 (1 故障)

25 配線ルート


配線ルートの選択

各機器への配線ルートとしてケーブルラック、ダクト、ピット、電線管が使用されます。
処理場の設備は屋外、腐食性ガスの発生箇所や地下構造等の雰囲気の良くない箇所が多数あります。
この中では、漏水や湿気やガスなど環境の影響を受け易くなります。
保守管理で何とかできる部分が少ないので、配線ルートの施工方法を工夫することにより劣化を少なくしたいところです。

(1)床面のケーブルピット
床面の配線ルートは、通行の邪魔にならないようにケーブルピットや埋め込み電線管が利用されます。
以下の例は、屋外の特別高圧用GISの制御ケーブルを納めたケーブルピットです。
重要設備のはずです。
設計当初からは、予想外?と思われる状況になっています。

設備は適正に管理されるのが当然ですが、言い訳としては、長い間に忙しさにかまけて管理の視点が引き継がれなかった結果です。


ピット内はケーブルが多数設置されています。このため、砂分が入ってピット内に水が貯まってくるとなかなか抜けないことになります。
管理としては、ケーブルをピットから持ち上げて、砂分を除去ししたいところですが、ケーブルを痛めないように作業するのはなかなか大変です。
ピットの配置と排水路はそれなりに考慮されていると思いますが勾配がほとんどありません。


ケーブルピットによる布設を行う場合は設計当初から、
(a)ピット内の排水を考慮し勾配を大きくする。
(b)ピット幅に余裕を持たせる。
(c)ピット内にケーブルラックを布設し、ケーブルをそのままピット内に布設しないようにする。
屋外の場合、よほどのことがない限りドライとし、清掃を行い易くできるように設置することが必要です。


ただ、現在では、ピットではなくラックによる配線に変更すべきと考えます。
機械によっては、修理時に搬出等に影響がある場合は別ですが、長年の管理からはラックによる配線の方が劣化を抑えられると考えます。


(2)床面の埋め込み電線管
電気設備の照明用電線管など、建設当初に埋め込み配管で施工されるケースがあります。
ピットと同じように通行の支障にならないように床面に埋め込み電線管(主に厚綱・薄綱電線管)を使用する場合もあります。
特に、地下構造物の床面の埋め込みは、電線の劣化が激しくなります。
修理工事により、電線管内部の腐食により膨張しているため、内部の配線を引き抜くことは困難です。
新規に配線ルートに変更することとなります。 (6 管廊(3)側溝の処理)




この例では、床面だけでなく壁面の露出配管も相当腐食しています。
材質が通常の厚綱や薄綱電管です。
埋め込み電線管の使用は当然避けるべき状況ですが、露出電線管についてもステンレス電線管、合成樹脂電線管などの腐食に耐性がある材料を使用すべきでしょう。
(3建築電気設備 (1)照明設備)



ピットと埋め込み電線管のケースで見てきましたが、同配配線ルートは通路の確保やメンテスペースの確保で優位にありますが長期の管理を考えると やはり、ケーブルラックによる配線ルートで検討すべきと考えられます。
最近は、水処理施設に柱を立てて4mぐらいの高さにラックルートを配置してケースがよく見られるようになりました。
当然、水処理設備のメンテに影響がある場合は、ピットや埋め込み電線管を使用すべきですがその場合も長期的に上記状況にならない対策をお願いします。



埋め込み電線管の種類


1 金属管
(1)厚鋼電線管
 肉厚で強度が高く、主に高圧ケーブルの保護に使用される。
 長年の使用では湿気で腐食する。
(2)薄鋼電線管
 厚鋼電線管よりも肉薄で、一般的に低圧ケーブルの保護に使用される。
 長年の使用では湿気で腐食する。
(3)ねじなし電線管
 ねじ加工が不要で、現場での作業性が高い電線管です。
 長年の使用では湿気で腐食する。
(4)ライニング鋼管
 内面に防食ライニングが施されており、腐食環境下での使用に適している。
 長年の使用で全体の腐食は発生しないが、ねじ切り部などの接続部分で腐食が発生する。
(5)亜鉛メッキ電線管
 鋼管に亜鉛メッキを施したもので、耐食性、耐候性に優れ、屋外や過酷な環境下でも使用できる。
 特に、厚鋼電線管(G管)は肉厚で強度が高く、衝撃から電線を保護するのに適している。
 経験はないが、ねじ切りタイプは接続部で腐食すると思われる。(現状ねじなしを使用)  
(6)ステンレス電線管
 耐食性に優れ、屋外や湿度の高い場所での使用に適している。

2 合成樹脂管
(1)VE管 (硬質塩化ビニル電線管)
 耐水性、耐薬品性に優れ、比較的安価で広く使用されている。
(2)PF管 (ポリエチレン製可とう電線管)
 可とう性があり、曲げやすく、露出配管や隠蔽配管など、幅広い用途で使用できる。
(3)CD管 (コンクリート埋設専用管)
 コンクリート埋設専用の可とう電線管で、PF管よりも安価
 合成樹脂管は長年使用しても湿気に対する腐食はない。




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