水処理プラントの管理


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 故障・保守 (3 点検)

3建築電気設備 (1)照明設備


1 照明器具の点検保守
照明設備は、水処理プラントの設備において主役となる設備ではありません。
しかし、安全確保、機器不具合の早期発見、作業効率の向上といった観点から極めて重要な役割を担っています。

現状、照明器具の点検保守は、球切れ交換がメインとなっていますが、 器具が古くなってくると安定器(投光器、蛍光灯等)の交換や器具交換などを行うことがあります。

年点検としては、外灯など昇降装置のある大がかりな照明設備は実施するようにしています。
ただ、更新計画を行う上で照明設備の状況を把握するためにも全ての目視点検や照度測定等を年に一度は実施すべきでしょう。 (なお、絶縁抵抗測定については、毎年実施しているとは思いますが)



処理場では、雰囲気が悪い箇所があり器具の劣化が早い場所があります。
照明器具は、主要設備と違い設置年数が長い器具が目立ちます。このため、時が経つと器具の劣化による故障も発生します。



照明器具の不点灯は、日々発生します。
事務所、電気室などの蛍光灯を計画的に一斉に交換することも考えられますが、現在はそのような管理を行っている処理場はほとんどなく、 点灯しない蛍光灯を随時(五月雨式)に交換しています。
本当のところ効率は不明ですが、コスト面、手間の面でこの方が優位に感じるからでしょう。

近年は事務所などは更新工事でLED化が進んでいますが、まだまだ水処理施設には蛍光灯が多数使用されています。
ただ、故障した蛍光灯については安定器等の部品交換をするような修理はなくないり、照明器具をLEDタイプに交換するようになりました。
多数のLED照明が設置された場所では球交換はなくなりましたが、劣化故障ではなくLEDランプの不良で突然点灯しなくなる器具故障はまれに発生しています。

因みに2027年末までに、全ての一般照明用の蛍光灯(蛍光ランプ)の製造と輸出入が禁止されるそうですが、処理場の水処理系には多数の蛍光灯が 残っています。
一時に予算が集中するような事態は避けたいものですが・・・

(1)沈砂池設備の室内
長い処理場勤務では大雨時に、運悪く自家発設備のトラブルなどで雨水ポンプの追加運転できず沈砂池が水没することがあります。
水が引いた沈砂池はさすがに惨憺たる状態です。
さて復旧作業のため被害状況を把握したいのですが照明の分電盤等水没し、沈砂池の全ての照明が使用できません。
真っ暗です。
被害状況の把握もままなりません。
まず、仮設の分電盤を沈砂池に設置します。
最寄りの階の健全な分電盤から仮設ケーブルを引いてきます。
仮設の照明器具を要所に取り付けます。
作業は大変ですが、まず照明がないと人は作業ができません。
(1 処理場・ポンプ場を浸水に強い施設とするための検討)


さて、照明器具にとって沈砂池設備の室内は雰囲気が悪く、器具の腐食による破損などがよく発生します。
特に除塵機や除砂機内に取り付けた保守用の投光器は、腐食でやられます。器具だけではなく、ケーブルが硫化水素で劣化し、絶縁が低下することがあります。
また、室内用の投光器は、室内の高い位置に取り付けられていますが、天井に取り付けられている昇降装置式の投光器はあまり見たことはありません。
たぶん取り付けられていていても数年で昇降不能となったと思います。

点検管理上、高い位置の投光器の点検には、点検用の梯子や架台が必須です。
また、壁沿いや柱に取り付けられる蛍光灯の高さも高い脚立や梯子が必要なものは配光上は有利かもしれませんが、 日々の管理では手間で危険です。(水没想定の検討は必要ですが)


除塵機、除砂機の機内に設置される投光器は防水や硫化水素対策に充分配慮する必要がありますが、器具の交換のしやすさも考慮しておく必要があります。

器具の取り付け方や支持部材に留意する必要があります。過去に、取り付けボルトが腐食し1台の投光器の取り外しだけに半日を要したこともありました。

沈砂池の照明のスイッチについては、洗浄水がかかることもあり防水タイプが必須です。


厚鋼電線管も腐食してボロボロになります。
腐食に強い溶融亜鉛めっき電線管(可能であればSUS管)を使用すべきです。



LEDの時代で長寿命化していると思われますが、腐食や不点灯が考えられ設備の寿命に対応できるように、設備の点検や交換は容易にできるようにしておくべきでしょう。




(2)ポンプ設備の室内
ポンプ棟の室内は、点検用のクレーンなどが設置されるため天井が高く天井に投光器などが設置されていました。
通常では、球交換ができないため、器具の昇降装置があり、器具を降ろすことができるようになっていました。


しかし、この装置は経年劣化等で故障すると、球交換は通常ではできなくなります。1~2灯の故障では、放置となり 数か増えると「修理工事を考えましょう」という流れになりがちです。

このため、個人的には、天井には設置しないで、点検梯子が設置された架台に何カ所が設置するか、又は、建屋から検討しておく必要があると思われますが、点検歩廊を設置された箇所に均等に取り付ける等の 方法が良いように思います。



(3)屋外
処理設備の屋外灯の考え方にも高さの考えがあります。
高い塔に外灯を集中的に設置して配光する方法もありますが、塔が大型になるほど転倒防止のため深い基礎が必要となります。
管理面では、高所作業車や昇降装置を使用しないと球交換ができない等の問題が生じます。
過去に、経年劣化で昇降装置用のレールに途中で引っかかり、修理工事を行わないといけないケースがありました。
設置に伴う費用、故障時の修理費用とどちらも高額な費用がかかることになります。
現在の設計では外灯の本数が増えますが高さを低くして、球交換等メンテを容易することが主流のようです。





2 LED照明の点検
以上が照明のメンテナンスですが、LED化でどのように保守が変化していくのかはまだはっきりとわかっていません。
球交換はなくなるのですが、経年劣化で暗くなれば、器具交換が必要でしょう。
沈砂池のLED器具は腐食で短期間に交換しなければいけないケースがあるようです。この辺が、もう少し対策ができたものが出てくるように思いますが。
ただ、設備の点検を考慮した設置方法は変わらないと考えます。


3 電線管路
一般建築物では、照明器具やスイッチへの配線用電線管は壁や床のコンクリート内に埋設されることが多く、美観や動線確保の観点から採用されています。
プラント施設でも、古い施設ほど埋設配管が採用されている例が見受けられます。
しかし、長年の使用によって絶縁抵抗が低下し、器具を切り離しても絶縁が回復しない場合、配線のどの部分が不良かを特定するのは非常に困難です。
修理の際、埋設部分の配線が引き抜けず、その区間を放棄して新たに露出電線管を布設した事例もあります。埋設電線管内部が腐食して膨張したためです。
プラント施設では美観も重要ですが、将来的な保守性を考慮すると露出配管のほうが望ましい場合が多いと言えます。

照明スイッチあれこれ

現在でもよく使われています。回路がシンプルです。故障が少なく長持ちします。
防水を向上させたタイプもあり、頑丈です。
ただ、当然でですが、多数の照明器具の点灯管理には向きません。


こちらも、まだまだ残っています。多くの照明器具の「点灯・消灯」を複数箇所に自由にで行えます。
「点灯・消灯」のスイッチ感覚がわかりやすい。ただ、湿気など防水には注意が必要です。
スイッチの修理は部品交換ですみます。


現在の新設の照明回路の場合、ほとんどこちらの負荷アドレススイッチが採用されています。
照明スイッチに点灯箇所のプログラムが書き込まれていて、伝送ユニット経由してリモコンリレーを適宜配置すれば、照明器具を個別やグループ別に「点灯・消灯」ができます。
また、中央監視制御室に照明設備の「点灯・消灯」の監視制御盤を設置し、処理場照明の一元管理が可能です。

ただ、現場のスイッチの「点灯・消灯」のスイッチ感覚が華奢のように感じます。
このため、事務所は良いのですが現場向きではありません。
防水機能はありません。このため、スイッチボックスを防水ゴムでカバーしていますが 操作感覚がイマイチとなります。(個人的感覚)
また、スイッチの修理は単純に交換するだけでなくプログラムの書き込みを行う必要があります。このため専用端末も必要です。
過去にありましたが、伝送ユニットが故障すると関連する全ての照明が各部屋で「点灯・消灯」できなくなります。 (修理するまで分電盤のリモコンリレーで手動介入して強制的に点灯・消灯)




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