8 高架水槽の水位検知用電極の不可解
この処理場では、ポンプの封水及び潤滑水、液体抵抗器冷却水にろ過水を使用しています。
図面的には、槽外形のポンプが設置できそうですが地下の受水槽のため、
高架水槽への揚水及び液体抵抗器の冷却水用に水中ポンプが使用されています。
高架水槽にはろ過水が供給されなかった場合に備えて上水の給水ラインを選択できるようになっています。
ろ過水又は上水を使用するの制御選択は切替スイッチにより選択されます。
この設備で、受水槽内の液体抵抗器冷却水ポンプが1台故障し修理工事を行うことになりましたが
着脱式の水中ポンプでないため、受水槽のろ過水を全て抜く必要がありました。

問題点として修理時間は8時間程度必要となり、この間は汚水ポンプが1台も運転できないことです。
この状態では、下水の流入量から滞水だけでは厳しいため、仮設で用水を給水して汚水ポンプをなんとか1台運転することとしました。
仮設対策
(1)封水及び潤滑水
高架水槽に、上水を送水する仕組みがあり通常ラインで上水を使用すします。
これは、高架水槽がLレベルになれば上水ポンプを運転、Hレベルになると停止します。
(2)液体抵抗器冷却水
液体抵抗器の配管の一部取り外し、近くにある場内の洗浄水ラインの散水栓に仮設ホースで接続しました。
供給できる水量は、確保されており機能上は問題ないことがわかりました。
(3)次に、問題になったのが汚水ポンプのインターロックです。
液体抵抗器冷却水ポンプは1台が「常用」である必要がありました。ただ、常用であると作業で危険であるため
コントロールセンターで電源「切り」としました。この状態でも、「常用」条件が維持されます。
以上を作業日までに、模擬試験でおこない、問題なく汚水ポンプが運転できるか確認を行いました。

当日です。当初は順調作業が進んでいました。
仮設に切替を行って3時間程度たったころ、上水を補給している高架水槽から上水がオーバーフローしていることがわかりました。
上水揚水ポンプがHレベルで停止していなかったのです。また高架水槽にはHHの警報があるのですが、こちらも警報が出ていませんでした。
修理工事が終わるまで、上水揚水ポンプの運転を「機側運転」で対応していましたが、HレベルとHHレベルの61フロートレスリレーが動作しない理由も併せて調査を行いました。
状況整理
(1)修理が始まるまで、61フロートレスリレーが誤動作していません。
(2)電極の端子台でHレベル、HHレベルを短絡してみるとリレーは動作します。
(3)電極が水に浸かっています。
(4)61フロートレスリレーを新品と交換しても変わらず。
動作しない理由がわかりません。
修理工事が終了し、ろ過水受水槽が使用できるようになり、通常に運転できる状態になりました。
給水先を上水からろ過水に切替を行いました。ろ過水に切替た当初は、同様の動作をしていたのですが、
やがてHレベルでろ過水揚水ポンプが通常通りの制御をするようになりました。
以上の結果から
(1)61フロートリレーや配線に問題はない。
(2)電極にも問題はない。
ということです。
そこで、考えたのは、ろ過水と上水の導電率の違いです。
使用している61フロートレスリレーは以下で一般用です。
参照(10 雑排水ポンプの故障)

カタログ仕様上は、上水でも使用可能となっています。
また、高架水槽の電極と61フロートレスリレーが取り付けられている距離は200m程度でこちらも仕様を満たしています。

他の上水の受水槽でも使用しています。感度が出ないとなれば他でも以上が発生してもおかしくありません。
ただ、今回の動作を観察すると感度が足りていないことが推察されます。
もう一度運転状況を考えてみると
(1)ろ過水から上水に切替当初はポンプは正常に運転・停止を行っていた。
(ろ過水が残り導電率がそこそこ残っていた。)
(2)上水に切り替えて3時間程度で制御ができなくなる。
ただし、Lレベルで運転し、Hレベルの停止できない。また、HHレベルの警報もでない。
(高架水槽が上水にほぼ入れ替わった。)
(3)修理が終わり、ろ過水に切り替えた当初はHレベル、HHレベルを検出しない。
(当初は、上水の導電率が残っている。)
(4)暫く運転を続けていると通常制御(Lレベルで運転、Hレベルで停止)で運転できるようになった。
(上水がろ過水に入れ替わった。)
後日、電極を調べたところ汚れ対策や防波管内の接触を避けるため被覆されていました。
このこととからもともと電極の導電率に関係する有効接触面が少なく、少ない有効電極面にも汚れが付着して、
COMからの距離があるHレベル。HHレベルが導電率が低下あして検出できなくなった。
上水揚水ポンプの運転できたのはCOM電極とLLレベルの距離が近いため動作可能だったと思われます。
今後の対策として、電極の清掃と同時に、電極の被覆、特にCOMの可能な限り被覆をはがしました。
その後の再現試験では、正常に動作することを確認しました。
高感度用61フロートレスリレーと交換する解決策もあるかもしれませんが、別途高感度による誤動作など悩みが増えるかもしれません。

教訓
各部品単位で見ると適正な部品の選択や施工となっており特に問題がないように思えます。
しかし、経年劣化やメンテナンスフリーは予期せねトラブルを起こします。
また、推測を困難にします。
今回の場合は、設備的には電極式ではなくフロート式を利用するのも一案なのかもしれません。
将来的として
揚水ポンプとして水中ポンプはメンテ上大きな問題があります。
このため、将来的には水槽の配置を変更し、
槽外形の揚水ポンプを設置できるように施設の更新を計画する必要があると思われます。
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参照(14 雑排水ポンプ)
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