水処理プラントの管理


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  制御 (制御弁)

15 制御弁(電動制御弁・エア制御弁・油圧制御弁)


下水処理場で汚泥流量や風量等を制御するための弁制御として、以下のような仕組みがあります。
(1)電動機を使用した電動制御弁
(2)空気圧を利用したエア制御弁
(3)油圧を利用した油圧制御弁
各々にはメリット、デメリットがあるため用途は概ね絞られたものとなります。

1 電動制御弁等

電動機で弁類を開閉します。ゲート類に似ていますが制御弁で使用する場合、途中開度で使用されることが多くなります。
(1)メリット
補機が必要でなく、構造が簡単でメンテが行い易い点があります。
(2)デメリット
電動機を使用するため、火気制限場所では防爆仕様が必要です。
目標に対して追従性を上げるため不感帯を狭くし過ぎると、高頻度で開閉を繰り返すようになります。
このようなインチングを行うと電気的には電磁接触器、機械的にはギヤ部、ブレーキ部の損耗が激しくなります。
また、流体の変動幅が大きく早い場合も動作が俊敏にできないため追従できないことになります。


昔、電磁接触器のインチング劣化を改善するために、以下ようなソリッドステートコンダクタを使用した可逆ユニットの提案したことがあります。 そのときは残念ながらサーボモータユニットの採用となりました。


(3)使用場所
大口径の制御対象で流量変動が少なく開閉の微調整を頻繁に行う必要がない箇所に使用されます。
水処理分配、下水流入、反応タンク流入の各弁となりますが、沈砂池の流入・流出ゲート、放流ゲート類等も基本構造は同じです。


2 エア制御弁

(1)メリット
作動源に空気を使用するため防爆対応がとりやすく火気制限場所でも使用可能です。
高頻度の開閉や連続制御を伴う動作も損耗機構がほとんどありません。大きく変化する制御目標に対しても制御弁の追従が可能です。
(2)デメリット
作動源として空気圧を使用するため、補機類が必要です。
また、設備のメンテナンスで除湿器、オートドレンなど結露水の対策が重要です。
長年、メンテナンスを行わないと電空ポジショナを経由してシリンダー内まで結露水が浸入します。
電空ポジショナや、材質によってはシリンダーの内部が腐食し設備寿命が短くなります。
(参考 12 補機設備(1) 計装用空気源)




(3)使用場所
下水流入弁、反応タンク風量弁、各汚泥引抜弁等の水処理施設の連続制御弁に使用してます。
電空ポジショナを使用しませんが初沈汚泥引き抜き弁等のように開閉で使用する弁もあります。

3 油圧制御弁等

(1)メリット
作動源に油圧を使用し空気源のエア制御弁より小型で大きな力を発揮できます。
また、エア制御弁と同様に高頻度の開閉連続制御を行うことが可能です。
(2)デメリット
油圧を利用するので油漏れによるメンテが必要になります。
下水では特に問題ないのですが衛生的なものには使用できません。
また、火気危険場所では使用できません。





(3)使用場所
ブロワ吸い込み弁、インレット弁等などの連続制御弁に使用します。
因みに、
流入ゲートでは電油操作器は使用せず油圧用電磁弁を使用した開閉操作となります。
ゲート類を油圧で開閉する場合、全閉時に過トルクが発生すると物理的に噛み込みを解除するのに油圧調整でしかできないので、苦労する場合があります。




エア制御弁・電油制御弁の動作

4~20mAの連続信号により制御される制御弁は動作方向として2つの方式が用いられています。
正動作と逆動作です。
(1)正動作 全閉から全開の信号方向が4~20mA
(2)逆動作 全閉から全開の信号方向が20~4mA
通常の感覚的には信号が増加すれば開度が大きくなっていく正動作で問題がないように感じます。
しかし、プラントでは信号が何らかの原因で途切れた場合、プラントに支障が生じないかを考えます。
(参考 マスタ弁制御)


(1)水処理系統の分配弁、反応タンクなどの下水の流入弁の場合
   逆動作 反応タンクの流入弁で信号が切れて、全閉になった場合、下水があふれます。
(2)反応タンクの風量弁の場合
   逆動作 反応タンクで曝気風量弁の信号が切れて全閉になったとき反応タンクに吹かなくなります。
(3)最終沈殿地からの返送汚泥の引き抜き弁、反応タンク返送汚泥投入弁の場合
   逆動作 信号が途切れて場合、汚泥ポンプの運転に支障が生じます。
以上の考え方は原則で絶対的なものではありません。あくまでもプラントの特性によるもので、別の支障が出るようであればこの考え方も変化します。

(4)送風機の場合
(a)逆動作 吸い込み弁の信号が切れて全閉になり風量が流れなくなると、
   反応タンクに送風できなくなり、風量低下の影響が大きい。また、送風機にもダメージがある。
(b)正動作 吸い込み弁で信号が切れても締め切り運転とならず最低風量が確保されていて
   送風機の運転上支障がない。
   逆に、送風圧力が高くなりすぎると送風機にダメージがある。

水処理施設が増設や更新するたびに考え方が変わると管理する側で混乱を生じ危険です。
「処理場内は統一的に設定する」必要があります。



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