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 雑談 (2 技術?)

7 高すぎるコントロールセンタ


最初の躓き

昔、設計部門に配属になり、最初に担当したのが、沈砂池設備の更新工事でした。
この工事は、前任の引き継ぎとして引き受けたため、途中までの設計は終わっていました。 その中で、設計調整担当の先輩
(ある先輩) から宿題をもらいました。

「今後、電気設備の更新が続き、2~3年後に全設備が更新される予定、電気室もフリーアクセスを計画しています。 このため、今回の電気設備をどのような配置にするか検討してください」とのことでした。

因みに今回の沈砂池設備の電気工事の更新は、変圧器盤、低圧動力盤、コントロールセンタ等で、規模的には全電気設備の25~30%程度です。



盤配置の検討
まず、新盤の置き場所について検討を行いました。
(1)既設の電気室に余裕はなく将来の搬入路の確保が必要で、変圧器類を別の場所に置く余地がありません。 また別の場所に置くと、変圧器とやりとりするブスの工夫が必要です。
このため、更新で撤去する盤を入れ替えることで将来余地を残すことにしました。
この結果、フリーアクセス化を予想して変圧器盤類を高くすると、既設盤と列盤に配置することが困難
なりました。

(2)既設のコントロールセンタは単独で設置されていたので、更新後は、既設盤と列盤になっていません。 このコントロールセンタはフリーアクセスを考慮したものにします。


悩んだ末、この結果を先輩に相談したのですがこのときは善し悪しの明確な回答をもらえませでした。

結果としては、
「コントロールセンタだけ高くし、変圧器盤は列盤とする」
ことになり、ちぐはぐな状態と感じてはいたのですが、工期がないためこれで発注することになりました。



工事が施工され順調に進みました。
完成間際で部分的に設備の運用が可能になったころ、上司に声をかけられました。

「現場の管理者から『盤が高すぎ点検時に身長が足りないので困る』との連絡が来ていますが、どのような状況ですか」 との話がありました。
このため、上司にコントロールセンタを高くした経緯、概要の説明を行いました。

上司は、腕組みをしながら、
「今年は皆さん優秀なんだけど考えすぎるんだよねえー」(かなりの皮肉)と、「何か対策を検討してください」との話をもらいました。

施工メーカーと協議したのですが、
「今の状態でコントロールセンタを下に降ろすとピットが浅く、ケーブルが入らないのでケーブルが折れてしまうう。 今更、盤の高さを変えることができない」とのことでした。当然です。

このため、やむを得ず仮設の点検台を設置することにしました。


先輩の課題は、難しい。
その後も先輩に相談する機会があったのですが適切な回答をもらうことはありませんでした。
当時を振り返ると、優秀な先輩は「新人に、いろいろな方向性がある設計を考えさせることが目的だった」のでは、 そして、「もしかしたら先輩自身もベストな答を持ち合わせていなかった」のではないかと当時を思い返しています。

その後、一応対策が終わり経緯を上司に説明をした際、上司は、
「貧乏性にならず、盤を高くするのは、全体の見通しがたった時点でも良かったのでは」と話していました。
たぶん、多少出戻りの費用(無駄)が発生しますが、そのとき考えればとのことでした。
考えすぎて先取りしても全体の整合性が取れないと別の問題が発生すると上司は言いたかったようです。

たぶん、変圧器盤類が高さを上げられない時点で、「あきらめ」を考えるべきだったように思います。
このときの最終的な自分なりの正解としては、
「将来、コントロールセンタを持ち上げたときのためにケーブル類の余長を0.5m程度、検討するだけで良かった(ピットに収まる)」ように思います。

今回の更新が25~30%程度の更新というのも微妙な感じがします。これが50%ぐらいの更新であれば、 もう少し選択肢が増えたように思います。ただ、新人には間違いなく難易度も上昇したでしょう。
設計で更新の難しさを味わった、最初のほろ苦い経験です。



補足
当時は考えもしませんでしたがタイトランスは重量があるので梁の上に乗っていたようです。置けるところに制限があった。(自ずと場所が決まってしまう)
低圧動力変圧器も容量の大きいものは注意が必要。



なお、このポンプ場の電気室の大部分が更新され全体がフリーアクセス化したのは、こちらが設計部門を離れた後、2年が経過していました。 当初の「2~3年で全て更新」を大幅に超えていました。

当然ですが、計画とは、予定であり確定ではない。


           
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