この制御電源は、各負荷の電動機の動作を制御する部分です。この電源がないと負荷(ポンプ等)
を動かしたり負荷(ゲート類等)の位置の確認ができません。
各負荷の電源は、3φ400Vまたは200V(現在は400Vが多い)なので制御用変圧器(75W~100W)を設置し
1φ100Vの制御電源を給電しています。
この保護は、従来、ほとんどのメーカーでヒューズが利用されていまいした。
過去に一部メーカーがサーキットプロテクタ(CP)を利用しているのに気づき、この方式がベストでは
考えるようになりました。
「故障・保守 3ヒューズ切れ」参照
理由としてヒューズは、故障でなくても経年劣化で切れることがあったからです。特に
絶縁抵抗を測定するために、CCユニットのMCCBを入切り時に
特に発生していたと思います。
制御電源が切れると、CCのユニットの表示ランプ(停止)が不点灯になるため気づくのですが
数多く点検していると見逃す場合があります。
作業後の再チェック
ヒューズは経年劣化で、いつかの時点で切れるものなので短いサイクルではないですが定期的に交換しなければいけない部品です。
ここで問題になるのが、ヒューズが切れて制御電源が落ちても警報が出力されません。多くの場合、中央監視では確認ができないことです。
制御電源「OFF」信号を取り込んでいるプラントは少なく、重要設備以外はほとんど有りません。(実感)
信号を取り込まない理由としては監視制御設備の費用アップがあるためです。
このため、制御電源が落ちても負荷の「常用」表示に変化がありません。自家発設備などの運転に必要な補機であっても制御上の
「準備完了」条件が落ちることがありません。
このため、自家発設備の定期点検時まで気づかないことになります。点検前に、ゲリラ豪雨など急な雨が発生した場合など、
自家発設備の運転か必須の状態になった時はじめて、故障に気づきます。緊急に調査を行うことになり、影響が大きくなります。
ちなみに、制御電源の保護の仕方を機場で調べたところ以下の種類が有り、意外にも確定していませんでした。
調べた限りではA、B、C、Dタイプがあります。
A、C、Dは制御用変圧器の負荷側のみ保護されており、電源側に保護がありません。Bタイプのプラントメーカーに
確認したところ、MCCBで保護協調がとりづらいので入れているようです。他社は大丈夫かしらん。
また、保護にCPを使用していたのは、プラントメーカーのF社に限られ、担当した機場の発電機補機に採用されているだけです。
個人的には、DタイプのCPを利用するのが良いと考えています。
担当していた処理場(全てBタイプ)が更新工事のためCCが新しくなることになりました。
メーカーと仕様、打ち合わせでDタイプに変更したい旨確認したところ反映されることになりました。
従来の設計仕様ではCタイプが表記されていますが、ほとんどのプラントメーカーは特に指示がなければ既存の設備に合わせて更新が行われています。
良きにつけ悪しきにつけ、これは、これでシステムが統一されています。
協議の結果、この部分を今回以降の更新工事でCPに変更することになりました。
更新工事前がBタイプだったので、本人としては、Eタイプを念頭に置いていました。
数ヶ月後、CCが搬入されたのですが迂闊にも、制御用変圧器の電源側はヒューズのままでした。(Fタイプ)
これは、自分が直接の担当ではなかったため、担当にシーケンス図面の再確認をお願いしていなかったのが敗因です。
Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Action(改善)
機器が搬入され、確認したときに少しがっかりしたのを覚えています。ただ、メーカーでは仕様変更を忘れたわけではなくCPでは
本体のMCCBと保護協調が難しいと考えたようです。
なかなか複雑な心境です。今までの仕様を変えるのはなかなか大変です。
慰めとしては、負荷側に比較して、電源側電流が少なくなるため、経年劣化によるヒューズ断のリスクが少ないことです。
結果的にはFタイプになりました。今後、更新されるCCは全てFタイプです。
とにかく一歩前進です。
設計は70点を合格とすべし。