水処理プラントの管理


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 故障・保守 (1 故障)

3 1本のヒューズ


状況

平成○年、台風23号対応時。
17時50分。
ポンプ場の雨水ポンプ全台運転時に、雨水ポンプの機器操作・運転情報が全て監視できなくなりました。
(1)当初はCTRの故障と思われ、メーカーと電話で対応協議
(2)CTRのCPU切替のため、安全上、雨水ポンプ「機側」切替
(3)雨水ポンプ全台を「機側」にした時点で発電機2台停止。    原因不明(おそらく起動要求が外れたため?)。
(4)主流入ゲート操作及び準備完了後、発電機2台を「手動」で運転。
(5)雨水ポンプを「機側」で順次起動。
(6)故障原因である補助継電器盤の制御ヒューズ切れを発見。
(7)正常3Aヒューズと交換。(この時点で5Aが正規品と気づいていない)
(8)正常に監視が戻った後も念のため、発電機、雨水ポンプ、手動運転を継続。
(9)流入量低下後、発電機、ポンプを「自動」へ。もどした時点で、雨水ポンプ全台停止。のち順次再起動した。
(10)発生から作業完了まで、約50分。


原因

写真

(1)補助継電器盤の制御ヒューズ(5A)を挿入すべきところに(3A)のヒューズを間違って挿入していた。 平時では、運転する機械が少ないので、3Aでも間に合っていたのですが、豪雨ですべての機器(危機)が動作したため、 徐々に劣化し、容量が足りなくなったようです。最悪状況の時に最悪のことが起こります。


反省

どんなプラントもたった1本のヒューズにより止めることが可能だと再認識させられました。
もっとも複雑な強固な原子力発電所や何十億もかけたプラントが1本100円のヒューズに依存しているのではと、なんとも興味深く 怖い話です。よもや飛行機は大丈夫だと思いますが・・・
土木工事の頑強なコンクリートの堤防とちがって、設備屋が支えているのはソフトな堤防です。こちらの堤防は何とも頼りない。
(1)1本100円ヒューズでこの堤防は崩壊
(2)1行のプログラムミスでこの堤防は崩壊
(3)リレー1個の接点不良で狂い、自ら決壊
ただ、設備屋はこの呪縛から解き放されるような設計、保守が出来るのでしょうか。

対処として、月並みなですが
(1)設計を細部に詰めていますか。
(2)試験を徹底していますか。
(3)メンテナンスを頻繁に行っていますか。
等ですが、他に改善策はないのでしょうか。
では、もともとヒューズとは何でしょうか。

理屈っぽく表現すれば
「機器・部品が故障した時その故障が他の健全機器に波及しないようにする装置のことです。」
(1)その故障により、予定した保護範囲の対象機器以外に影響が及ぶ超過保護を行うヒューズの設計になっていませんか。
(2)影響が大きいヒューズ等の機器は、正常か、異常かの2つの判断だけでなく、異常になりつつあるなどの三つ目の判断が必要と 思われます。
(3)正常に使っていても原理的にヒューズはいつかは切れます。

機器は故障する宿命を負っています。故障した時、その状況を詳細に把握しておくことが重要です。確かにプラント全てをシュミレート することは不可能ですが、故障が重大な結果をもたらす機器であるならその解析は手間でも必ず行うことが必要です。
とりあえず、上記の教訓から、ヒューズが嫌いになり、設計する際は使えるところはすべてノーヒューズブレイカーを推奨しています。








           
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