水処理プラントの管理


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 設計・施工 (3 電気設備)

1 中央監視制御設備の構成


(1)SQC、CTRの区分

過去のローカル側のシステムは、SQC、CTRの区分けが明確でした。通常、SQCはロジックシーケンスを行い、 DDC制御等のアナログ処理を行っていました。
シーケンス制御周期は200ms以下の応答性が必要だったこともあります。CTRは、アナログ信号の取り込み及びDDC制御等のPID制御を行うことを ベースに行ったいため、制御周期は1sec程度です。
現在のCTRはDDC制御、シーケンス制御が同じCTR内で共存できるようになっています。この理由は、内部にいくつもの制御周期が違うプログラムが 共存できるようになったことにあります。


システム構成図(ローカル側)


CTRが共用できるといことは、SQC・CTR2組で構成すべきものが1組のハードウエアにできることをことを意味します。 ただし、当初、考慮していたシステム構成の信頼性がくずれることになります。
このため、この時期のCTRはあえて共存をやめて、同じCTRをSQC専用、CTR専用で組み立てるようにしていました。



しかし、予算が削減される中でSQC、CTRを分けることはコスト的に厳しくなり、CTR1組で組み立てる方式が 採用されるようになりました。
ただ、CTRの1組にするのは、CTRが故障したときの影響が大きく信頼性が大幅に低下するという問題がありました。
その回答として、重要な設備(受電、自家発、揚水等)にはCPUだけを2重化したCTRを採用するというでした。 この時期に各社がCPUの2重化を製品として出してきていたということもあります。



CPUの2重化は、概ね以下の構成になっています。
PIOは共通となっています。
CPUだけの2重化については、いろいろ問題があります。
(1)基板の数も多いPIOの故障に対してバックアップできない。
(2)切替器が判定できない故障は、バックアップできない。(PIOの2重化対応でも問題あり)
以上により、コスト削減によるシステムの信頼性を犠牲にするところが有りました。
処理場によってはミニSQCを採用し機能分散した図ったところもあります。
2重化システムの信頼性はあくまで限定的だと考えるべきです。
ちなみに、昔、読んだ専門書では、原子力発電所等重要な設備には採用されないとの記述がありました。




システム構成図(中央側)

中央側のシステムは、最近の情報機器の恩恵を受けたLCD監視装置により分散化が進み、多重化されています。 LCD監視装置が数台壊れても支障がないレベルまで分散化が進んでいます。 現在、中央監視室でよく見られるグラフィック監視操作盤の位置づけが曖昧になっています。

当初、CRT(のちのLCD)中央監視制御装置は工業計算機等を利用した2重系のシステムでした。
端末のCRT監視制御装置はこの計算機に直結しており、計算機が停止するとすべての監視操作ができなくなる仕組みでした。
このため、計算機故障時のバックアップとしてのグラフィック監視操作盤の存在意義がありました。 しかし、現在のLCD監視制御装置は単独で監視機能を有し、その設置台数もかなりの数が設置 されています。
このため、LCD監視制御装置故障のバックアップしてのグラフィック監視装置は必要ないと 考えられます。
また、現状のグラフィック監視操作盤はLCD監視装置と同じ伝送路経由で信号の やりとりが行われています。このため、伝送路のトラブルに対しては同様に対処できません。

このことから、今後は設置の必要はないと考えます。もし設置を検討するのであれば、ケーブル ルート選定が大変ですが、設備を限定(受電、自家発、主ポンプ等)し、できる限り信号のやりと りは、直送ケーブルで行うべきと考えます。
(伝送設備)


操作場所については、昔は各設備の制御室に現場総括盤を設置し、中央監視室のCRT(のちのLCD)監視制御装置からできる ことがすべて(故障表示及び運転操作)可能となるような仕組みとしていました。
しかし、コスト削減の影響で、主要設備(受電・自家発・主ポンプ・ブロワ)以外の設備に関しては、故障表示だけとして制御室からの操作ができませ ん。
このためシステム的には、アンバランスナ部分が生じています。
たとえば、制御室で運転・停止できないのに量制御用にバックアップ操作器を設置する仕様はそのままとしています。




用語

(1)フォルトトレラント
事故や故障などが起きることを前提に、重要な機能を提供する機器を複数用意したり、一ヵ所の問題 が他へ拡大しにくい構造にするなどの手法で備え、一部が機能を失っても全体の性能や機能を落とさ ずに稼働を続行するような仕組みや考え方を意味する。例えば、CPUや電源装置を二重化して片方 が故障しても電源が落ちないコンピュータや、停電すると発電機が起動して電力を供給させ続けるプ ラントなどがフォールトトレランスな設計の例として挙げられる。
(2)フェイルセーフ
「操作方法を間違ったり、部品が壊れたり、誤作動したりした場合に、危ない方向ではなく、安全な方向へ向かう」ように設計すること
(3)フールプルーフ
「使用方法を知らない、もしくは間違った使い方をしても大事に至らないような設計」のこと  危険や混乱に繋がる制御はあえて難解にするという、人に対する設計思想
(4)フェールソフト
「故障がおきた時にでも、なんとか動作を継続させるという設計」のこと
(5)フェールオーバー
故障が起きた時にでも、完全にそれを補完する事ができ、その補完状態になること
(6)フォールバック
フェールソフトがフェールの後の話なのに対してフォールバックはフェールを起こしにくくする為の考え方だということ


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