水処理プラントの管理


トップページ 1 設備 2 制御 3 設計・施工 4 故障・保守 5 雑談 6 余暇
 

 故障・保守 (3 設備の点検あれこれ)

9 汚泥調整槽の点検及び養生


汚泥調整槽の点検及び養生について、最初・終沈沈殿池より点検箇所も少なく養生作業も簡素化されまが、
覆蓋が外せない構造となっています。このため、点検口を全て開放しても強制換気が必要です。
今回の例では、4槽中の1槽なので面積負荷が4分の3となります。
通常汚泥で沈殿しやすく汚泥界面ができている調整槽では、問題ありませんが沈降性の悪い汚泥では処理に影響が出ることもあります。
この場合は汚泥処理の増量が必要です。 故障修理を行う場合は時期を選べませんが、点検では汚泥の正常が安定する夏場に入れる必要があるかもしれません。

1 汚泥調整槽の運用停止


(1)分配槽の可動堰を「全閉」にします。
点検対象の調整槽の流入が停止します。
(2)他の調整槽の流入を調整します。
概ね均等に入っていて、なおかつあふれる状況でなければ調整の必要はありません。
(3)他の調整槽の引き抜き汚泥汚泥量を増量して割り振ります。


2 池排水を開始
汚泥引き抜き制御の「休止」は調整槽の引き抜きで液位を下げたいのでぎりぎりまで継続します。 その後、汚泥引き抜きを「休止」モードにします。


3 池洗浄
池内は丁寧に洗浄し、ピット内に汚泥が残らないように清掃します。
(1)逆洗水(処理水)を流入させて残った汚泥を希釈します。
(2)槽内の壁面などの洗浄を行い汚泥を残さないようにします。
(3)洗浄で機器点検が行いやすくします。
(4)なお、覆蓋の点検口は小さいく地下構造なおので、汚泥がが残っていると時間が経つと硫化水素の発生が予想されます。
このため丁寧に洗浄を行います。
調整汚泥ポンプで排水をおこない槽内の残留がほぼ処理水になるように引き抜きます。




(5)掻き寄せ機、引き抜き弁を「手動」「機側」にします。以上の作業終了後、各手動弁を「閉」にします。


4 池点検
(1)安全対策
覆蓋の点検口は多数設置されていますが、換気として自然換気は限定的です。
送風設備などを設置した後、池内に入る前に、ガス検知器の測定を行います。
また、ガス検知は連日行い。昨日がよかったからと手抜きをしない。
1日経つと環境変化がある場合があります。

(2)落下防止
通常他の池と違って調整槽内への備え付けのステップ等は付いていません。調整槽はかなり深いので二段梯子などの使用になります。
梯子は、安定しないのでロープなどで確実に固定します。
また、安全ブロックなど落下防止対策を行います。

(3)工具の準備
必要と思われる作業工具を準備しておく。

(4)点検作業
以下の状況確認を行い、写真及び記録に残します。
内部は、掻き寄せ機等の腐食の状況、サポートの腐食状況の点検になります。
なお、池内点検作業中は、ガス測定は連続的に行う作業員(1名以上)を待機させておきます。

(5)作業後
作業後は工具類等回収を行い、忘れ物を確認します。






汚泥調整の点検例

写真は、汚泥調整槽のシャーピンが切れたため、槽内の緊急点検を実施したときのものです。















このときの原因は、調整槽のスカムスクレパーが硫化水素等のガスで腐食し落下したものが掻き寄せ機に噛み込んだためでした。
応急修理はできないため、修理工事を後日計画することし、撤去後スカムスクレーパなしで復旧しました。




5 池復帰
(1)逆洗水ライン(処理水)を利用して注水します。


(2)ほぼ満水近くになってから分配槽の可動堰を開けて汚泥を流入させます。
 同時に掻き寄せ機を運転します。
(3)手動で操作したバルブ関係を点検し、通常運用状態になっているか確認します。
(4)各機器の「手動」「機側」モードを通常状態戻します。
(5)下水流入後、1時間程度で「休止」モードを解除し、通常運転にします。



分配槽ではなくヘッダー管を利用して自動制御で投入しているときは流入停止は制御弁を「休止」モードにします。




作業工具類(例)


準備作業 点検作業 安全対策
・パイプレンチ
(バルブ、ゲート操作)
 
・洗浄用ホース・ノズル類
・パイプレンチ(パイプ付き) ・大・小モンキーレンチ類
・投光器(槽内投光)、電工ドラム
・2段梯子(ケースにより)
・必要による追加工具及びウエス類
・CRC556(必須?)
・電動グリスガン、オイル等
・写真用デジカメ(不良箇所の撮影)
・記録及び点検用紙

 
・安全帯、作業用ロープ類
・換気用送風機、安全ブロック
・ガス検知器



Copyright © 2021 水処理プラントの管理 All rights reserved.
by 水処理プラント設備の管理