8 最終沈殿池の点検及び養生
最終沈殿池の点検及び養生については、最初沈殿池と同様な部分と異なる点があります。
処理状況が安定していれば4池から3池になっても支障がないと思われすが、処理量が限界に近い場合や
汚泥悪化状況により沈降性が悪い場合は、反応タンクの流入量を少し押さえる必要があります。
また、4池が3池となった場合は、各池のバランスを各流入ゲートで調整します。
掻き寄せ機等の設備の構造は同じようなものとなっているため、点検箇所は同じようになります。
覆蓋などは設置されていないため養生の部分で簡略化できるところがあります。
1 最終沈殿池の運用停止
(1)流入ゲートを「全閉」にします。
(2)点検対象の最終沈殿池の自動制御を「休止」モードにします。
これにより
①終沈汚泥泥引き抜き弁の休止
②終沈汚泥掻き寄せ機の停止
③スカムスキマ停止(連動する機場としない機場がある)
(3)各対象機器の「手動」「機側」モードに変更します。
(4)汚泥引き抜き弁(エアー弁)は誤操作で開けると困るので池側の手動弁を閉めておきます。
2 池排水を開始
当初は、活性汚泥が沈殿しているので返送汚泥として1m程度水位が下がるまで返送します。
各池の排水弁の状態が確認をしたのち対象池の排水弁を開けます。
その後、池排水ポンプを使用して排水を行います。
3 池洗浄
池内はきれいに洗浄し、ピット内に汚泥が残らないように清掃します。
(1)最終沈殿池の場合は、壁面に汚泥が付着していると復旧時にはがれて流出します。
(2)機器点検が行いやすくします。
(3)なお、地下構造では、活性汚泥が残っていると時間が経つと硫化水素の発生が予想されます。
4 池点検
(1)安全対策
屋外の最終沈殿池は覆蓋されていません。
池内に入る前に、ガス検知器の測定は必要ありません。
ただ、地下構造で、上下式の最終沈殿池があります。この場合は最初沈殿池と同じような手順が必要です。
開口部が構造上少ない場合には、換気設備を用意して強制換気を行います。
少しでも不安がある際は、面倒と考えず、準備をしておきます。
また、ガス検知は連日行い。昨日がよかったからと手抜きをしない。
終沈でも1日経つときれいと思われる洗浄水も汚泥を含むと腐敗ガスを発生させます。
(2)工具の準備
必要と思われる作業工具を準備しておく
(3)点検作業
以下の状況確認を行い、写真及び記録に残します。
①主務チェーンの弛み調整(テイクアップ)、掻き寄せ機の調整運転実施
②スプロケット、レール、シューの摩耗測定
③サポート類の腐食確認
なお、池内点検作業中は、工具の上げ下ろしを行う作業員(1名)を待機させておきます。
ガス検知が必要な最終沈殿地は2名程度とします。
(4)作業後
作業後は工具類等回収を行い、忘れ物を確認します。
最終的な試運転を行います。
5 池復帰
(1)逆洗水ライン(処理水)又は運用している隣の池からサイホンで注水します。
(2)ほぼ満水近くになってから処理水の給水を停止し流入ゲートを開けて下水を流入させます。
最終沈殿池の場合、処理水等で水が張っていない状態で流入ゲートを開けると攪拌された状態で沈殿地に投入されます。
この状態で満水になると沈殿していない状態で最終沈殿池から流出することになり、きれいになるまで半日以上かかります。
(3)手動で操作したバルブ関係を点検し、通常運用状態になっているか確認します。
(4)各機器の「手動」「機側」モードを通常状態戻します。
(5)下水流入後、1時間程度で「休止」モードを解除し、通常運転にします。
作業工具類(例)
準備作業 |
点検作業 |
安全対策 |
・パイプレンチ
(バルブ、流入ゲート操作)
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・洗浄用ホース・ノズル類
・パイプレンチ(パイプ付き)
・大・小モンキーレンチ類
・小型ハンマー
・貫通ドライバー(-)、
その他ドライバー類
・ボックスレンチ類
・テストハンマー
・投光器(槽内投光)、電工ドラム
(2階層など、地下構造の場合は必要)
・2段梯子(ケースにより)
・ノギス類
・必要による追加工具及びウエス類
・CRC556(必須?)
・電動グリスガン、オイル等
・写真用デジカメ(不良箇所の撮影)
・記録及び点検用紙
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・安全帯、作業用ロープ類
・安全ブロック
屋外の場合、換気用送風機やガス検知器は必要ないと思われますが、2階層の場合などでは必要です。
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