水処理プラントの管理


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 故障・保守 (3 点検)

7 反応タンクの点検及び養生


反応タンクの点検などを行う際には、最初沈殿池及び最終沈殿池と違ってプラントへの影響を検討する必要があります。

(1)水処理系への影響
系列が少ない場合、停止すると水処理能力が低下します。
このため、処理が悪化している時期や水量が多くなる時期は避ける必要があります。
系列数が多い場合はこの影響は軽減されます。
特に冬期は水質が悪化しやすいので避けた方が良いように思われます。

(2)反応タンク排水による汚泥増加
反応タンクが大きい場合に排水される中に含む固形物量が多くなります。
調整汚泥量増加と、汚泥処理施設への増量など検討事項が出ます。

例 数字を入れるとだいたいの固形物量が計算できます。
MLSS   PPM  反応タンク容積  m3   固形物量  t



(3)反応タンクの作業計画
点検作業には人員と安全確保が必要なため、情報共有を目的とした作業内容の計画書を事前に作成します。 作業開始日にはそれを元に作業を行います。


1 反応タンクの運用停止


(1)点検対象の反応タンクの自動制御を「休止」モードにします。
これにより
①反応タンク流入弁を全閉
②返送汚泥投入弁を全閉
③反応タンク風量弁調整
休止で反応タンクの風量が停止されるので、手動介入して曝気状態が維持できるように風量を減らします。
風量が出ていないと
①活性汚泥が沈殿してして散気板の目詰まり要因になります。
②攪拌されていた方が活性汚泥分も抜けやすくなります。
③活性汚泥が腐敗します。

(2)水質計器の養生
水位を下げてい行くと水質計器が空気にさらされることになるため、水を張った容器などを用意し検出部が損傷しないように養生します。

(3)泡消水の停止
消泡水の手動バルブを閉めて停止します。

(4)反応タンク流入弁及び返送汚泥投入弁の手動弁を閉にします。


2 池排水を開始
反応タンクの容量が大きいので排水には時間がかかります。また、処理場によっては汚泥処理に影響がないように日数を分ける必要があるかもしれません。

(1)反応タンク水位低下とともに、手動で調整している反応タンクの風量が増加するので、低下に合わせて絞っておきます。



(2)最終的に、空になるまで排水を行います。



3 処理水再注水
反応タンク内をできる限り、きれいにするため処理水(消泡水)で注水します。


4 覆蓋
再度、反応タンク内の排水を行った後、覆蓋を外します。
(1)覆蓋の取り外し作業は、落下の危険があるため、安全帯等の措置を講じてから行います。
(2)なお、覆蓋の重量がある場合の取り外しは、機器の使用が必要な場合あります。
(委託等作業自体の再検討が必要か?)


4 散気板洗浄
反応タンクの地上部から散気板を洗浄します。洗浄後、排水します。
この際も落下防止措置を行った後に行います。


4 散気板の確認
洗浄後、処理水を注水します。注水量は散気板が20cm~30cm程度の水深となるように注水します。
散気板から一様に空気が出るように風量を絞ります。
このとき、散気板の配置から不良箇所を特定し、記録します。
調査中も落下事故が起きないように安全対策をとりながら行います。


5 反応タンク内の点検
反応タンク内の散気板等の不具合箇所の調査を行います。

(1)タンク内の作業の安全性
①ガス濃度測定
タンク内をガス検知器で測定します。
反応タンクの覆蓋の重量があり、一部しか開口できない場合があります。タンク内の換気が充分行えない可能性もあります。
この際は、別途換気設備を設置して点検作業中は換気を充分に行います。
②高所作業
反応タンクは最初沈殿池や最終沈殿地よりも深く設計されています。落下の危険性を考慮した安全作業器具を用意して行います。

(2)散気板の状況
予備の散気板で直ぐ修理が行える簡易的なものについては、修理を行います。
全体的な修理が必要なものは、補修計画に反映します。





6 復旧
(1)復旧のための水張り中で、再度20~30cmの水深で散気板の状態を確認します。
確認後は通常運用状態の水位近くまで処理水を張ります。

(2)覆蓋を元に戻しますが、この際も取り外しと同様に安全器具を使用して行います。

(3)反応タンク流入弁及び返送汚泥投入弁の手動弁を開にします。


7 活性汚泥投入
処理水の水位が通常レベルに近くなった段階で返送汚泥(又は余剰汚泥)を投入し、活性汚泥の濃度を上げます。
なお、活性汚泥は、他の池から流用する形になるので、復旧前に余剰汚泥を少なくして他の池の活性汚泥の量を高めに調整しておきます。


7 通常状態へ
(1)水質計器を元の位置に戻します。
反応タンクの水質を監視します。

(2)休止モードから通常モードへ
活性汚泥濃度(500~1000ppm)まで上昇したら、池休止モードを解除し最初沈殿池からの沈後水を反応タンクに流入させます。



作業工具類(例)


準備作業 点検作業 安全対策
・パイプレンチ
(バルブ、ゲート操作)
 
・洗浄用ホース・ノズル類
・パイプレンチ(パイプ付き) ・大・小モンキーレンチ類
・小型ハンマー
・貫通ドライバー(-)、
   その他ドライバー類
・ボックスレンチ類
・投光器(槽内投光)、電工ドラム
・2段梯子(ケースにより)
・必要による追加工具及びウエス類
・写真用デジカメ(不良箇所の撮影)
・記録及び点検用紙

 
・安全帯、作業用ロープ類
・換気用送風機、安全ブロック
・ガス検知器



反応タンクの点検周期

反応タンクの点検は、最初沈殿池や最終沈殿池と異なり、養生で記載したようにかなりの労力を要します。
このため、大規模処理場では点検回数は制限を受けることになります。
8池あったとしたら、1年1箇所とすれば全池を確認するためには8年必要となります。
処理場における送気用ブロワの電力量は30%程度となっています。散気板の状態は、省エネなどに大きく影響するため 5年に1度は点検したいものですが、残念ながらそのようにはできませんでした。

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