19 調整槽汚泥引き抜きポンプの流量制御異常
20年近く経った調整汚泥設備の機器更新に伴い制御機器の更新を行ったときのことです。
制御の基本は、ほぼ既存の調整汚泥ポンプ制御を踏襲しています。
調整汚泥設備の構成
過去、調整槽から汚泥貯留への移送行う調整汚泥ポンプの制御で量制御が追従せず、速度制御ポンプ
(既設はVSモータ)を使用しても1m3/分以下に押さえ込みができませんでした。
このため、引き抜き流量は概ね制御可能な量を設定し
引き抜き量自体は、時間によりバッチ運転状態となっていました。(固定速ポンプと同様の動作)
調整槽からの引き抜きについては連続にしたかったため
原因調査を行ったところ
汚泥調整槽に投入している汚泥投入管が臭気対策のため槽の底部まで伸ばしていることに気づきました。
汚泥調整槽の液位は、常にオーバーフローで使用されています。汚泥貯留槽は、必ず調整槽より低い液面で使用されています。
このため、調整槽の引き抜き弁が開いた時点からサイホン現象が発生していることが判明しました。
対策を検討した結果、投入管の上部にエアー抜き管を設置し、サイホン切りを試したところ
調整汚泥引き抜きポンプの制御が1m3/分以下まで制御可能となり連続引き抜き制御ができるようになりました。
エアー抜き管の吸い込み口を槽外に出していると臭気が漏れることもあるため槽内で
液面に触れない位置に設置しました。
臭気対策としての投入方法と攪拌について(補足)
貯留槽の底部まで配管を伸ばすのは、水面にそのまま落とす場合に比較して
大幅に硫化水素の発生を抑えることができます。
(補機設備 (3)脱臭設備)
これにより、脱臭装置の負荷を押さえられ、周辺への臭気漏れを減らせます。
なお、今回のサイホン切りの設置で臭気の増大は見られませんでした。
汚泥貯留槽は汚泥処理施設への移送を行うための貯留槽です。
攪拌されていないと底部に汚泥や砂分が沈殿していきます。
このため、攪拌機(水中攪拌機を含む)または汚泥循環ポンプがないと底部に沈殿します。
(1)攪拌機は、回転数が高いほど攪拌効率(沈殿防止)が高いのですが逆に臭気の発生を助長します。
回転数を押さえたものとなりますが、砂分の多い汚泥では沈降がしやすくなります。
このため、汚泥成分に合わせて回転数に下限値に変化が有るようです。
(2)循環ポンプは攪拌機に比べ攪拌効率が落ちますが、臭気の発生を抑える効果は高くなります。
また、貯留槽が大きい場合には、攪拌機の設置が合理的でない場合が有ります。その際は水中攪拌機か循環ポンプ方式となります。
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