7 原発夜話
何が忘れ去られたのか
昔、製品検査である重電メーカーの工場を訪問したとき、他社向けの製品を見たことがあります。
その中に、特に異彩を放つコントロールセンタがありました。
ものすごく頑丈に作られているように四隅が補強されていました。ハンマーでたたいても壊れそうにないくらいで、
こちらの製品と比較して費用が「2倍はかかっているのでは」と驚かされました。
それが、何十面も並んでいました。
メーカーに聞いたところ、某原子力発電所向けとのことです。
我々と異なる安全基準を考慮して設計されていることに感心し、日本の原発はすごいと思いました。
話が変わり、福島第一原発は津波で水没し電源が喪失しました。
その後の大災害は、周知の事実です。
電気室は護岸と同じレベルの1階と地下1階に設置されていたと資料で読みました。
こちらは、常に「水の力」を感じているため、設備の配置がいつも気になります。
本当に護岸と同じレベルで40年もほったらかしだったのだろうか。
誰も、2階か、防水壁か、場所を変えるとかの発想がわかなかったのだろうか。
いまもその疑問があります。
技術屋はいつもリスクを考えているはずです。
日本では、問題の根本的な原因を明らかにする前に、誰が責任を負うべきかが注目されます。
確かに責任を問う必要はあるかもしれませんが、単に責任を追求するだけでは、組織と技術の本質的な改善には繋がりません。
ただ、
福島第二原発の電気室は同じ1階でもかろうじて助かっている状況と比較して大いに悔やまれます。
津波の高さが低かったのか。
単にラッキーなだけだったのか。
それとも福島第一とは違う技術的な改善があったのか。
お話をいただける関係者が身近にいないので未だ理由わかりません。
災害に、たらればはないように、結果が全てです。
あのコントロールセンタの頑丈さと1階の電気室。恐らく、あの頑丈なコントロールセンタはその実力を発揮することなく水没したのでしょうか。
|