5 行政のデジタル化
1 日本の行政で統一的なデジタル化が進まない理由は?
各行政庁では、自ら必要な手続き上の独自システムをすでに持っています。通常では
他システムとの連携は必要ありません。困りません。
また、自分のシステムがベストで、他のシステムを信用していません。
行政思考は無謬性に陥っているため、住民、国民から間違いを指摘されることが、最大の懸念です。
マスコミの行政の見方もこの点がワンパターン化し定着しているため、行政内部では「間違い恐怖シンドローム」
が蔓延しています。
行政システムの基本的な判断基準は、間違いの防止で有り、早急にとか、スピード感のある処理を
しなければいけないとの概念がもともとありません。
また、作業が遅れても公務員の立場は、困らない仕組みとなっています。
住民基本台帳、運転免許、保険、郵便局など国民管理の全体のデータはすでに完結しています。
データの共有化ができれば、国民番号制は、本来は必要ありません。
ただ、データの共有化を推し進めると各分野で、公務に関わる大量の人減らしに繋がってしまいます。
コロナ時代のPCR検査とよく似ています。検査が増えないのではなく、また設備や人員が足りないのでもなく、
やらないようにしているのです。
デジタル化もやらないようにしているのです。ただし、どちらも積極的な意思をもってサボタージュをやって
いるわけではありません。いろいろな法律、事情を駆使した消極的サボタージュとなります。
海外と取引のある民間企業は違います。データ共有は死活問題で有り、必要に迫られています。
海外のメーカーとの取引を紙で行うことはできませんし、会社の存続に関わります。
コロナがあぶり出した国家的な危機で、迅速な施策へ要望のためのデジタル化があっても、
基本的にデータは揃っていますが使わせていません。様々に利用できることがばれると
権益がなくなってしまいます。
このため個人保護を理由に使わせないような障壁を利用します。
その証拠に、行政が新規の事業を開始し、本人確認の書類がが必要な場合、住民票や保険証だったり、
免許証のコピーなどが収集され蓄積されます。
紙の証明書を盛んに利用しています。紙の場合は、個人保護は、気にならないようです。
デジタル化による利便性の向上問題は、本来の目的を見失い、形式主義に陥った日本の行政の
思考形態の一面を見せているのかもしれません。
こちらも同類として、現場から見えるデジタル化のメリットを感じていません。現在採用されている
情報システムは、従来の手仕事より、より面倒な仕組みで非効率に個人的には感じます。
「電子化で手続きに時間がかかるので今までより書類を2週間、早く提出してくだい」などの声を聞くと
その思いが強くなります。
見てはいけないのですが、日本のデジタル化の仕組みは、コンピュータとコンピュータの間に
人間が入った箱が用意されており、箱内では、一生懸命事務作業が行われているに違いないと
確信しています。
現状のデジタル処理システム
日本社会は、国の借金が積み上がっても老人大国には安定的に見えます。より保守的となり変化を嫌います。
しかし足下の現実社会はそれほど安定したものでもありません。
我々に本当に必要なのは、現実を受け入れそれを乗り越えていく知恵と少しの熱量かもしれません。
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