1 入らない変圧器
建設部門で設計の仕事をしているときの話です。
ある機場の電気設備の設計を行いました。まだ、設計の経験が浅く、なんとか発注し、
いよいよ、機器が完成し、設備が搬入されてきます。
その日、現場のベテラン監督から私に電話がかかってきました。「どうしても変圧器盤が搬入できない」
という電話です。私は「そんなことはないでしょう」と、やや焦り気味に回答しました。
建物の搬入口を検討し、問題ないはずでした。
しかし、話をよく聞くと、搬入口から入ったところにUPS盤が設置されており、そこを通過できないとのことでした。
変圧器盤は、変圧器と盤が分離して搬入しており、変圧器(1000kW)は問題なく搬入できたのですが、収納盤が通過できなかったようです。
搬入ルートは図面で確認していましたが、実際にできた収納盤の大きさは、高さ2.3m×幅2.3m×奥行き2.3m
のサイコロ形でどちらを向けても入らないかったようです。
最初からわかっていれば、単純に収納盤を2分割で製作していれば何の問題もありません。
最終的には、既設の重要設備に給電しているUPS盤を停止(関係プラント全て停止)させ、UPS盤を移設、仮置きしてから通過させたそうです。
かなりの手間がかかったそうですが何とか追加の費用は招じなかったようです。その報告を聞いてホットしたのと同時に、ベテラン監督に大いに感謝しました。
その後、教訓として設置できてこその設備と考え、現場調査は欠かせなくなりました。
当たり前ですが、搬入できない盤は造ってはいけない!
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