水処理プラントの管理


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 設計・施工 (3 電気設備)

22 揚水ポンプの流量計測


汚水・雨水ポンプ運転時の流量は正常に運転できているかの重要な指標です。
流量を監視することによりポンプが正常に動作しているか確認できます。
また、各ポンプの流量は水位流量制御等の台数制御を行う時のデータにもなります。
この流量の計測については、以下のように実用上いくつかの方法あります。



(1)電磁流速計により実流量を計測
ポンプ本体に電磁流速計(流量変換機能付き)を設置し、流量を測定します。
実際に流れている量を測定します。
正確に測定できればベストの方法です。

しかし、汚れが付着したりすると運転中に誤差が大きくなったりします。
また、初期の運転でポンプ内に空気だまりがあると、流速計が大きく振れたりします。
この欠点は速度制御を行っていると問題が顕著に表れます。

実際、吐出量が出ていないのに出ていると勘違いし制御上流量を抑えた状態が続くことになります。
台数制御を行っているときは、ポンプが追加起動しないことも想定されます。
事例として過去の台風や大雨時に苦い思い出があります。
このため、近年、ポンプの流量計測に電磁流速計がほとんど採用されなくなりました。

また、過去H社(のちY社に吸収合併)の電磁流速計を採用していたのですが、後継機種が作られることがなく廃止(正確な情報ではありません)となったようです。


(2)ポンプの回転数と揚程から吐出量を演算
流速計に変わって最近用いられるのが、演算による流量測定です。
方式には、2種類ありまあす。
(a)個別に流量演算モジュールを持ていて、個々のポンプの流量を測定できるようにしたもの。
(b)もう一つは、MCTR(マルチコントローラ)内に演算機能をもち複数台の流量を演算できるようにしたもの。
どちらも、機器が正常に動作しているときは、差がありませんが、MCTR故障時などを想定すると対象となる全てのポンプの流量が見なくなるので当然個別の方が信頼性が 高いと考えます。



仕組みとしては、
(a)ポンプの回転数
(b)揚程を計算するため吐出井とポンプ井の水位
を計装として取り込みます。

演算モジュールには以下のような流量曲線がプログラムされておりこれにより流量を算出して表示することになります。
なお、流量曲線を演算式で近似するメーカーもあり、多少の違いがプラントメーカーにあります。


この方式の弱点としては流量とは直接関係しない計装のデータから流量を演算していることです。
このため実際に流量が流れていることを検知はしていません。
極端な話、インペラが摩耗して大幅に流量が低下しているのに回転数が全速の場合は、吐出量が正常に 出ていることになります。

残念ながらポンプの劣化が流量から読み取れません。
水処理送水用の汚水ポンプの場合は、水処理送水用電磁流量計を利用して回転数と流量の実測を測定して 流量曲線を再設定することは可能ですが、雨水ポンプは構造上できません。

ただ、最大のメリットは大雨時など流入下水量が多い時に誤動作等が発生の可能性が少ない計装(回転数と水位計)を利用しています。その意味で信頼性が高いと言えます。

(3)ポンプ個別に電磁流量計を設置
電磁流量計で測定するため流速計より遙かに正確に流量を把握できます。
取り付け位置によっては、測定値にポンプの乱流の影響を受け誤差がありますが、エアーの混入がなければほぼ正確に測定が可能です。
ただ、過去、電磁流量計を個別のポンプに設置した事例に遭遇していません。当時、電磁流量計の値段が
「口径1mmに対して1万円」と言われていましたので口径が大きくなるととても高額なものとなります。
また、ポンプの設置場所から吐出井までの距離が長くなり、構造物の制約も影響がありそうです。
このため、現実的(裕福な処理場を除く)ではないのかもしれません。

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