水処理プラントの管理


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 設計・施工 (3 電気設備)

16 独善的な計測器評


(1)電磁流量計

電磁流量計は下水処理場で多様されています。原理的にシンプルな構造のため 故障はほとんど無く、精度が高いです。
設置後、ゼロ点の校正は可能ですが、スパンの調整がほぼできない機器ですから、 精度が狂わないのはいい機器です。
電磁流量計のメーカーはかなりありますが、Y社製の電磁流量計が多かった せいか、扱いやすい電磁流量計です。特にYMA11シリーズの変換器は、30年 以上使用していますが、特に故障が少なかったように思います。
経年劣化で故障する変換器が出てきても中古(一部設備の更新時に保管)の 変換器にデータを入力(特に専用の端末の必要なし)すれば、どのサイズでも 流用が利きました。簡単です。
なお、最新の電磁流量計変換器は、光で検知してデータを入力する方式が懲り すぎていて好きではありません。雰囲気の悪いところでパネルを開けなくても 操作できるようにしたようですが、ブキな私には不向きです。改善しない方が 良かったように個人的には思います。




T社の電磁流量は、故障が多いです。
7・8年経過した機器から故障が発生し始めます。変換器を分解して内部調査 をしたところ電源回路のコンデンサが膨らんでいます。

写真

コンデンサを交換すると復活します。先のY社製は30年経過してもこのよう な故障が発生していません。

原因は、電源の部品が振動等で動かないように、接着剤でモールドされている ため、部品の放熱が不十分で、コンデンサの寿命を縮めているのではと疑って います。確証はありません。
メーカーに相談しましたが、7・8年経過しているため、瑕疵とはゆかず、 メーカー修理で高額なため細々とコンデンサを購入し交換修理しています。 さらに、同流量計変換器は、見た目は同じですが、サイズが大・中・小と3種 類有り、中古予備品の流用が難しいこともあります。

電磁流量計のサイズが大きい検出器の交換は大がかりとなるため修理の難しさ と費用がかかります。今後も、使い続ける必要があり悩ましい問題です。
一事が全てではありませんが、日本の技術力の低下を感じます。


古い話ですが、高速増殖炉「もんじゅ」の火災になった事故は、T社製の 温度計がカルマン渦の振動で破損し、そこからナトリウムが漏れたのが原因 だったように記憶しています。関係ない話です。



(2)水位計

水位計も処理場では無くてはならない計器です。
流入水位、ポンプ井水位、吐出井水位、河川水位、滞水池の水位等
水位計の方式には、投げ込み式水位計、圧力式水位計等があります。
投げ込み式水位計
上部から水槽になげこまれて使用するもの
センサーの方式に、半導体圧力センサを利用、作動トランス利用
圧力式水位計
水槽外の底部に取り付けるもの
センサーの方式に半導体圧力センサを利用、コンデンサ容量変化を利用

投げ込み水位計ではJ社製が一押しです。
検出圧力センサーに差動トランスを使用しており、メンテナンスが必要な機器が 検出器に入っていません。(ベローズは交換必要です)
水位計は、ずれによる校正が必要な機器ですが、ゼロ点及びスパンの調整が 変換器で調整可能で、ボリュームを触るだけで簡単にできます。

他社は、検出器に演算部品が入っており、端子台から専用端末による 設定変更が必要です。
 なお、調整用端末の取り扱いマニュアルは読み応えがあります。 ただ、若干の懸念は、K社(後、合併してJ社)製と呼ばれていた時代の水位計は 最長で20年近く動作していたものがあるように記憶しています。最近の水位計は そのような時間軸ではなく5~6年ぐらいで、不具合が発生しているような 気がします。

圧力式は、水槽外底部に設置されますが、検出配管等が砂などで埋没しづらい 構造とすべきで、配管洗浄用の圧力水は常備する必要があります。
投げ込みに比較し、防波管などの設置、被水対策が取りやす等のメリットがあります。





変換器でゼロ点、スパンの調整可能



圧力式水位計の例 洗浄配管は必須。検出部にゼロ点だけボリューム調整可能。
スパン調整は専用端末が必要。


(3)DO計

DO計も処理によく使われていますが、メンテに難点があり、維持管理が大変です。 浸漬形のDO計が多くありましたが、隔膜部が小さく直ぐに劣化あるいはメンテ時に 傷を付けていたように思います。

写真

横河電機と統合した北辰電機のDO計は検出部のプローブが大きくメンテ時に 頑丈に見えました。しかし、統合後の製品は、小さい隔膜になり、北辰カラーは ありませんでした。
校正は、DO ゼロの溶液、スパンはDO飽和水を作成し、調整しています。 最近は、空気校正でも行えるようにしていますが、ちょっと面倒くさいと思い ます。
また、校正が校正液を利用して、ゼロ点とスパンが自動校正のみとするメーカー がありますが、自動校正外に機器に偏りが出ると校正をやめてしまいます。 直ぐ修理ができれば問題ないのですが、修理までの時間をかせぎたい場合などに 苦労します。
自動校正以外に手動補正を可能としたメーカーもあることから、計測器の性質を よく理解しているメーカーだと思います。

ある処理場で使用されていた、ダンフォース(デンマーク製)のDO計は、
よくできていました。
空気校正で指針を100%にボリュウムを調整することで簡単にできたよ

写真

うに思います。
下水に併せて頑丈にできていました。
感度がとれなければ、大きなサイズの隔膜ブロック(数万円、やや高い)
を交換すれば良いだけです。水質計器の校正には、厚いマニュアルを読む
必要がありますが、この計測器は、紙1枚のマニュアルで全ての人が理解
できる点もありがたいです。

最近は、蛍光式のDO計が出てきていますが、こちらはさらにメンテがさらに楽 にできるようになっていいるように思います。各社が出してきていますが、ハック 社(アメリカ製)の製品を取り扱いました。このような製品に日本製にはないの でしょうか。
DOの測定原理がいまいち理解できませんが・・

校正は、上記のダンフォースより手間ですが、ほとんどずれないので、校正も 頻繁に行う必要がありません。ただし、蛍光フィルター(約5万円)を2~3年 に1度交換する必要があります。手荒に扱っても、隔膜のように傷のつきやすい 部品がないので、人の扱いによる、損傷が少ないのもうれしいです。 今後は、浸漬形がすべて蛍光式になりそうな予感がします。




(4)pH計

pH計も水質監視の定番です。測定方法は何十年の変化がありません。
各社、KCL溶液を基準としているため、溶液の補充が必要です。 一時期、検出器内部の標準液を満たし、1年補充しなくて良いタイプもありましたが 最近では見かけません。
何十年も変化が無いような気もしますが、基準溶液を補充しなくてもよいpH計は は出ていない。

(5)汚泥濃度計

濃度計は、過去超音波式が使用されていましたが、現在はほぼ光学式になっています。 ほぼ正確の測定が可能です。
特に、M社製の濃度計が多様されています。ただ、費用が小型の高級車並の価格 となっているのが難点です。  最近ですが、汚泥のメンテ頻度の違いがあることに気づきました。 初沈汚泥濃度計は時間軸と共にオフセットが生じ洗浄を行う頻度が多くなっています。 センサー部は見た目はそんなに汚れていませんが、清掃すると確かに改善します。 調整汚泥濃度及び返送汚泥濃度計ではほとんどメンテを必要といしていません。  汚泥の性質にるものか、機器の差によるものかは不明です。メーカーに見解はありません。



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