15 計装設備あれこれ
1 4線式、2線式とは
(1)4線式
計装機器に電源(100Vなど)が供給され、4~20mAが出力される機器
電源ケーブル2本、出力信号ケーブルが2本あるため4線式と言われます。
対象例
電磁流量計、DO計、pH計、MLSS計、濃度計等
使用電力が大きな機器
(2)2線式
計装機器に、24Vを給電する回路から、4~20mAの出力される機器
電源と出力信号が兼用で、2本しかケーブルがないため、2線式と言われます。
対象例
差圧風量計、圧力計、レベル計等
小電力で動かすことができる計器(4mA×24V≒100mW)
2 出力信号が4~20mAである理由
ほとんどの計装機器の外部への出力は、4~20mAとなっています。
電流源である理由は、ケーブルの長さによる電圧降下を考慮する必要が無いことです。
電圧の場合、ケーブル長により、誤差が大きくなります。
また、最低電流を0mA、でははなく4mAとしている点は、ケーブルが切断した場合、
計器が故障した場合を把握できるようにしています。
なお、コントローラ等信号を取り込むためにはA/D変換器を使用しますが、入力には
電圧を利用しているため4mA~20mAの信号回路に250Ωの抵抗を挿入すること
により、1~5V入力電圧を生成しています。
3 故障調査時の注意
2線式、4線式の計測器が故障した場合の調査で、標準電流発生器を使用したい場合が
ありますが通常の電流発生器は能動に電流を発生します。このため、
2線式に能動的な標準電流発生器を入れると回路や発生器が壊れることになります。
2線式の回路で電流が発生できる2線式対応の発生器を使用する必要があります。
2線式の電流発生器の簡易等価回路(抵抗で作成可能)
4 アイソレータ
アイソレータは、入力信号と出力信号を直流電気的に絶縁する機能を持ったものです。
計測器からの出力では、4線式の場合、750Ω程度の負荷を接続可能なものもあります。
単純に3負荷出力では可能となりますが、接地等の取り方により信号の回り込みが
発生することがあり、その対策のためにアイソレータを取り付けます。
その他アイソレータには、ノイズ対策、負荷分け等の機能もあります。
5 警報設定器
ほとんどの計装ループには警報設定器が取り付けられ、計装の重要な役割を
になっています。
現在、デジタル監視により、信号の監視は、中央監視制御設備とマイクロ
コントローラに移行していますが、最終的な保護・警報として重要です。
最近のデジタルの波は、この警報設定器にもきています。多機能にするためです。
いろんな場面で使用したい用件があるからとは思いますが、個人的には昔のシンプルな
警報設定器が好きです。
取扱に厚いマニュアルを読まないでも誰にでもわかりやすいことが、
人間工学的に優れているように思います。
旧型を改善すると、視認性は向上しますが、部品点数が格段い増え、本来の機器の信頼性が
低下します。この道筋に現在のデジタル多機能警報設定器があるように思います。
ただし、旧型は信頼性はありますが、新規性がないためメーカーにとって最も重要な製品が売れないかもしれません。
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