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2 建築器械設備 (2)給排気設備
1 給排気ファンの点検保守
建築設備の給排気ファン(ファン等)は、水処理プラントの設備において主役となる設備ではありません。
しかし、回転機器であり数も多くなることからそれなりの管理が必要になります。
(1)給脂式、無給脂式
給排気ファンの軸受け(ピロブロック等)が無給脂式の場合は特にグリスアップの必要がありません。
給脂式は定期的にグリスアップが必要で連続運転か簡潔運転かの運転頻度によりますが、最低、年1~2回程度(メーカー取説はもっと高頻度)のグリスアップが必要です。
この定期的グリスアップを行えば、給排気ファンの軸受け(ピロブロック)は長期に使用が可能です。
グリスアップ作業
過去、手動グリスガンでグリスアップしていたのですが、処理場の建屋には数が多くの給排気ファンがあります。
また大型の給排気ファンのもありました。このためグリスアップ作業は手間のかかる作業(不人気の)となっていました。
異論もあったのですが、作業改善のため電動グリスガンを導入しました。
在庫のペール缶(数量は秘密です)が無駄になりますが、グリスガン専用(チューブ式)に変更しました。
これにより、以下の作業改善がありました。
(1)作業時の人数が少なく、また作業に要する期間も短くなった。
(2)作業にストレス(嫌がらない)を感じる人が少なくなった。
(3)作業時のグリス汚れが少なくなった等。
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(2)張力調整
ベルトの劣化・亀裂が発生している場合は交換しますが、張りが緩い場合には、電動機のベースを移動させて張力調整を行います。
張りすぎると軸受けやベルトに無理な力がかかり劣化を早めます。
(3)プーリーの摩耗
長年使用してくるとプーリーの溝が摩耗してきます。摩耗量が大きくなるとプーリーの交換か必要になります。
摩耗は運転時間に依りますが、摩耗が進むとVベルトの劣化が早くなります。
(4)給排気ファンの芯出し
給排気ファンの点検の際、ベルト等こすれる音が大きい場合やベルトの片減りの際には、芯がずれていることがあります。
直尺や芯出し糸などを使用して電動機のプーリーとファンのプーリーの位置関係を調査し、ずれている場合は修正します。
(5)給排気ファン点検作業の養生
本体の防護カバーを外した作業は、面倒でも必ず電源を切りましょう。
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注意点
(1)グリスアップ時は「手動」「機側」モードとします。
試運転時は「運転」・「停止」は大きな声で確認します。
(2)芯出し、Vベルト調整などは「手動」「機側」モードとし、電源を「OFF」にします。
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給排気ファンの点検項目
| 点検対象 |
点検機器 |
点検項目 |
備考 |
| ファン |
本体 |
軸受け異音 |
摩耗・給油状態 |
| 異常振動 |
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| ブレード |
損傷 |
| ケーシング |
損傷 |
| Vベルト |
張り・劣化・亀裂 |
| プーリー(本体・電動機) |
損耗・偏心 |
| ダクト |
塗装・損傷など |
| その他 |
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| 電動機 |
電流値 |
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| 軸受け |
異音 |
| 周辺設備 |
| 給気口 |
固定フィルター |
汚損状態 |
| ダクト |
塗装・損傷など |
| その他 |
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| 集塵機 |
フィルター |
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| 巻き取り機 |
腐食・注油 |
| その他 |
塗装・腐食など |
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奥深い異音
給排気ファンのような回転機器は大小はともかく運転時に色々な音を発生します。
風量音、ベルトのこすれる音、軸受け(電動機やピロブロック等)の音が発生します。
音の発生は連続だったり間欠の周期的であったりします。
軸受けやベルトなどが劣化してくると「いつもと違う音(異音)」となります。
このいつもと違う音の状況により機器の状態を把握することが日頃の保守点検で重要になります。
ただ、この異音については新人はともかくベテランでも迷うことがあります。
日常点検者に「異音が発生している」と言われて見に行ってみると意外とそうでもない事があります。
計測機器として聴診棒や振動計があるのですが中々判断が難しい事があります。
これからはIT機器を駆使する時代だと考え、大手プラントメーカーが出している回転機器のポータブル診断機器(約150万円)の購入を提案しました
があえなく却下されました。
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給排気ファンの点検対象機器
| 点検場所 |
点検機器 |
号数 |
定格
電流(A) |
測定
電流(A) |
状況・措置 |
備考 |
| 1F○○給排気ファン室 |
○○給気ファン |
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| ○○排気ファン |
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| ○○給気ファン |
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| ○○排気ファン |
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| 2F○○給排気ファン室 |
○○給気ファン |
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| ○○排気ファン |
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| ○○給気ファン |
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| ○○排気ファン |
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作業工具類(例)
| 準備作業 |
点検作業 |
安全対策 |
作業中CCなどに明示標識
・ファン本体の作業時は
「手動」「機側」「電源OFF」
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・大・小モンキーレンチ類
・小型ハンマー(プラスチックハンマー等)
・貫通ドライバー(-)、
その他ドライバー類
・ボックスレンチ及びメガネレンチ類
・投光器(集塵機内等投光)、電工ドラム
・必要による追加工具及びウエス類
・CRC556(必須?)
・電動グリスガン等
・ステンレス製直尺(スパンが長いもの)、芯出し糸等
・写真用デジカメ(不良箇所の撮影)
・記録及び点検用紙
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(1)無給脂式、給脂式
給排気ファンに採用されるのは無給脂式、給脂式のどちらも採用されています。近年は無給脂式が増えているように思います。
無給脂式はグリスアップなどの必要でなく一見、保守が楽なように思います。
しかし、長年の使用により、ピロブロックなどの軸受け交換が必要な場合は、小型のファン以外直営作業ができません。
片や給脂式は、毎年グリスアップの必要がありますが保守が適切であれば軸受けの異常で故障することはほとんどありません。
どちらが良いかは、処理場の保守体制によります。
計画的にファンの修理工事ができるようであれば、無給油式を採用します。
できるだけ長く持たせたい。グリスアップを行うマンパワーがまだ確保できる場合は給油式となります。
(2)給脂口
給排気ファンの給油口はピロブロックにグリスニップルをつけるだけでなく配管を伸ばして防護カバーが取り付けられた状態でも
グリスアップができるようにしておく事が必要です。
設計施工時に考慮しておきます。
(3)その他
建築の給排気ファンの回転部については、労働安全衛生法に基づき、労働者の安全を確保するための防護措置が義務付けられています。
主な規制内容は以下の通りです。
機械の危険な部分の防護
動力で駆動する機械の回転部や可動部など、労働者に危険を及ぼすおそれのある部分には、囲い、覆い、
ガードなどの防護措置を講じなければなりません。
近年、給排気ファンの保護カバーの基準が変わって細かい金網状で良かったものが、表面と裏面の全てが完全に金属板でカバーされた状態になっています。
その構造は、「絶対中を見させないぞ」という強い意志を感じます。
このため、ベルトの弛みや破損がカバーを外さないとまったく分からなくなりました。
図のように点検口があれば別なのですが、設計時点で要望されない限りそれもありません。
日常点検など支障を来します。
一般の人が立ち入る可能性がある場所はこれで良いのでしょうが、プラント設備管理者しかいない設備では非常に困ります。
防護は重要ですが、日常点検に支障がある防護は別の意味で危険です。
そういえば、記憶違いかもしれませんが、裏面のカバーが外されっぱなしの給排気ファンをみたことがあるような・・・
「過ぎたるはなお及ばざるがごとし」
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