水処理プラントの管理


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 故障・保守 (3 点検)

(1) 主流入ゲート等の点検及び養生


主流入ゲート設備は、処理場に流入する下水の制限等を行います。
通常は、メンテナンス又は、処理場で飲み込めない流量の抑制以外に開閉を頻繁に行うことはありません。

1 主流入ゲート設備の点検
まず通常状態の開閉試験を行います。
(1)操作時の開閉時間
(2)開閉時の電流値
(3)開平時のリミット動作確認
 過負荷リミット動作の確認
(4)操作時の異音
 ギヤ部、ゲート扉体など
 


2 扉体等の点検
(1)スピンドル、中間軸受、扉体等の腐食
(2)ゲート内の中間軸受、扉体等の異音・振動確認
なお、特に流入水位に影響されませんが、低水位の方が確認が行いやすくなるため 汚水ポンプの低水位運転を行います。


3 扉体の止水状況



流入ゲートを全閉にします。


汚水ポンプを追加運転し、沈砂池側の水位を下げます。
水位を下げて、これ以上下げられない水位になったら、沈砂池の流出ゲートを閉めます。
流出ゲートを閉めたのち、点検対象の流入ゲートの扉体を洗浄します。


流入ゲート側の水位を上昇させて、漏水がないか確認します。


漏水の位置によりますが底部からの漏水の場合、砂の噛み込みも考えられます。
この際は、何度か開閉を行い流速で底部の砂を除去します。
それでも閉状態の止水が足りない場合は、駆動装置の閉リミットを調整します。

4 機器への給脂・オイル交換
駆動部、スピンドル部への給脂やオイル交換など必要な箇所に行います。

5 ゲート点検時の安全対策
(1)流入ゲート内は密閉空間なので、送風機を設置します。
   点検時は、常時、ガス検知を行います。
(2)ゲート内が地下構造で深い場合は、安全ブロックなどを利用し落下対策を行います。

6 自重落下機能付き流入ゲート
電源等が喪失した場合でも緊急時に閉めることができるゲートです。
ただ、水位の低い状態で全開状態から落下させるのは推奨できません。
(1)落下試験は20%以下とします。
(2)流入下水の水位は高めに維持した状態で行います。

7 ゲートゲート点検例
駆動部の修理工事は行っていますが、扉体・中間軸受等がそのまま30年以上経過したゲートです。
腐食状況から本格的な修理が必要な時期になっています。



ゲートの点検時期

主流入ゲートの点検は、降雨が少なく天気の安定した冬場に行う必要があります。
修理工事を行う際も同様の検討を行う必要があります。
「流入下水の水位に対してどの程度の貯留量を有するのかを知っておくことは有意義です。
緊急時であったり、修理工事で流入ゲートを閉めてどの程度我慢ができるか知ることです。

(流入下水の水位に対する貯留量)





作業工具類(例)


準備作業 点検作業 安全対策
・パイプレンチ
(バルブ、可動堰操作)
 
・洗浄用ホース・ノズル類
・パイプレンチ ・大・小モンキーレンチ類
・小型ハンマー
・貫通ドライバー(-)、
   その他ドライバー類
・ボックスレンチ類
・投光器(槽内投光)、電工ドラム
・必要による追加工具及びウエス類
・CRC556(必須?)
・電動グリスガン、オイル等
・標準電流発生器(開度信号調査用) ・写真用デジカメ(不良箇所の撮影)
・記録及び点検用紙

 
・安全帯、作業用ロープ類
・換気用送風機、安全ブロック
・ガス検知器


8 修理工事の養生

主流入ゲートの修理工事を行う際は、ゲートの開閉が不可能となります。
このため、流入ゲートの幹線側に仮壁を設置する必要があります。
仮壁設置に伴う作業
(1)作業時期
修理工事は天気が安定していて流入下水量の少なくなる冬期に計画します。
(2)作業時間
流入下水量の少ない時間帯で作業を行います。
昼間に、流入量が多い場合は夜間の水量の低下時に作業を行わなければならない場合があります。
降雨時は、安全作業を優先して行わない。
(3)汚水ポンプの運転
作業時は、低水位運転を行い、異常が発生時しても対応できるように監視を行います。
(4)異常時
異常時などには現場責任者との連絡が確実に取れるように処理場側の連絡担当者を調整しておきます。
(5)作業調整
他の作業とのバッティングが生じないように、職員で情報の共有化を行います。




流入ゲートの構成


流入ゲート及び連絡ゲート等の配置で修理工事などでメンテナンスに大きな影響があります。
ゲート本体と枠などをコンクリート躯体に取り付けなおす場合に施工上の大きな支障になります。


(1)ケース1
流入ゲートの手前に連絡ゲートを設置しています。
このためどの流入ゲートを修理のため閉鎖しても流入が遮断されることがありません。


(2)ケース2
流入ゲートの手前に各流入に対して連絡ゲートが設置されていないのでゲートの手前に仮設の閉鎖壁 を設置できません。
コンクリート躯体のゲート枠の取り替えなど下水が流入した状態で作業行うのは困難が予想されます。
図では仮の排水ポンプを設置していますが、流量が多い場合には困難です。


(3)ケース3
流入ゲートと沈砂池流入ゲートは兼用になっています。
また、各流入に対して2水路設置しているため、1門ずつの閉鎖が可能です。


(4)ケース4
合流のため下水が常時流れ込んでいます。
流入ゲートが1門しかないため、(2)と同様のように閉鎖壁を打つことはできません。


(5)ケース5
(4)と同様に流入ゲートが1門しかありません。完全な雨水ポンプ場であれば渇水期には地下水などの小量の流入にとどまると考えられます。
(4)より、対応は可能と考えますが、降雨を想定するとやはり完全な閉鎖はできないように思います。
この場合の仮設排水は可能かもしれません。

幸い過去の業務では、(2)や(4)、(5)の経験がありません。
各ゲートメーカにヒアリングしたことがないのでもっとスマートに行うことができる工法があるかもしれません。



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