水処理プラントの管理


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 故障・保守 (3 点検)

14 受変電設備(3)停電作業の考え方


1 停電作業を行う場合の基本的な考え方


電気設備の管理を行う上で例年行っている作業として絶縁抵抗測定(高圧・低圧)の作業を考えていましたが、 手順書のない新規の作業の場合は、基本的にどのように手順書を作成すれば良いのでしょうか。
作成方法を新人や未経験の担当にどのように説明すれば良いのでしょうか。

大手の電機プラントメーカーの工事監督(複数)に聞いてみたのですが、新人などに対する細かいマニュアルは存在しないとの回答でした。
その都度、オンジョブトレーニング(仕事をしながら)により教育しているとの話がありました。
各社の人材は優秀なのでしょうが、口伝的な要素では多少心許ないと考え、これを作成しています。
まだ、漏れているところもあります。細かな知識が増えてややマニュアル的なものからは逸脱しつつあります。
確かに、文書化が難しいところです。
しかし、難しいとあきらめないで文書化をすることで未経験の人に「どこに注意すべきか」を少しでも伝えることができれば幸いです。
今後も追記、補完を行い多少でも参考になるようなものにしたいと考えています。


(1)停電を必要とする作業内容
処理場の設備で停電が必要な作業には以下のものが考えられます。

①高圧絶縁抵抗の測定
比較的短時間の停電作業で作業が行えます。ただ、停電範囲が広くなり、処理場全体に及びます。

②保護継電器の点検
通常は高圧絶縁抵抗測定と同時に作業を行います。
不足電圧継電器のように生きている保護継電器の出力を出さないようにして作業を行うことが可能ですが、誤作業による停電も考えられるため「停電時に作業を行う」べきでしょう。
また、過電流継電器などは設備が無保護状態となるため作業ができません。

③各盤内の清掃作業
高圧絶縁抵抗の測定と同時に計画します。
ただし、高圧盤内作業等が存在するため、高圧絶縁測定の作業より綿密に計画をたてる必要があります。

④高圧盤、分電盤等の更新、電気設備を含む機械設備の修理又は改造工事
作業内容により、影響範囲をその都度計画する必要がありますが。基本は盤内清掃作業と同等になります。

(2)停電対象の処理設備の特徴の確認
下水は常に流入しており、処理場の設備の停止は停電時間が限らものがほとんどです。
設備によっては、短時間の停止しか許されないものもあります。
このため、停電作業による影響範囲、停電時間に対する検討を行います。
さらに、 電気設備の施工などで増設や改修作業の場合、トラブルで順調に終わらないケースも考えられます。
安全が優先されるため、バックアップによる給電ができない場合もあります。可能かどうかを検討します。

バックアップが異種の変圧器で並列運転がきず、無停電による電源の切替ができない場合があります。
この場合は給電の切替時に短時間の停電が発生します。
改修工事など場合によっては大がかりな仮設電源を計画する必要なケースもあります。

(3)清掃・改修対象の受変電盤内は無電圧状態
なお、盤の中には他の盤から給電し、一部のブスやケーブル端子が充電している場合もあります。
作業を行う盤内は結線図や現場の盤内を確認して実際の配置状態を確認します。
「無電圧状態」にするための作業手順を考えます。

(4)操作する遮断器の養生
高圧遮断器について「切り」についての操作制限はほとんどありませんが、「入り」については存在します。 復旧時にトラブルにならないためにも操作を行う遮断器についてインターロックを事前に確認しておく必要があります。
操作養生としては以下となります。
①「自動」「手動」の場合は「手動」
②「常用」「機側」の場合は「機側」
③「切り」にするだけでなく「引き抜く」 などの電気的な誤動作の予防措置を行います。


(5)断路器の養生
まず、断路器は電流が流れていると切ることができません。
このため、直近の遮断器とインターロックが組まれています。その遮断器を「切り」にしない断路器を切ることができません。
操作養生としては以下のようになります。
①インターロックの遮断器を切った後、
手動操作の場合、「切り」と同時に機械的ロックがかかる構造になっています。
②電動操作の断路器については、「切り」操作後、制御電源を「OFF」にして、誤動作しないようにします。

(6)MCCBの養生
通常、手動操作で「切り」で誤動作しません。
容量の大きな連絡用MCCBやACBの場合電動操作が可能です。その際は、引き抜き可能なものは「引き抜き」を行います。
「引き抜き」ができない場合は、制御電源を「OFF」にします。
また、電動機操作のMCCB等については、「入り」操作にインターロックが存在知る場合があります。 こちらも事前確認が必要です。

(7)計器用変成器(VT、GVT)の養生
VTが高圧母線に取り付けられていると線間の絶縁抵抗が測定できません。(対地間は可能)
GVTは対地間、線間とも絶縁抵抗が測定できません。
(あえてGVTの対地間を測定する際には、接地線を取り外す)

(8)盤内の改造や清掃等を行う場合の養生(停電作業後)
①盤内の検電と放電を行います。
コンデンサの残留電荷は交流用検電器では検知できないので、交直両用の検電器を使用します。
5分以上経過すると放電抵抗により電荷はなくなります。
②接地工具の取り付け
当該停電盤が給電されていた箇所に接地工具で接地させます。停電範囲の規模により、受電点が複数箇所ある場合は、複数接地します。

(9)作業後の確認
電気主任技術者又は作業責任者の指示により盤内の接地工具を確実に撤去を行います。
また、作業を行った盤内に異物、破損がないかの最終確認を行います。
(過去、あり得ないことですが、作業がぱんぱんで急いだため接地工具の取り忘れ発生しています)

(10)復電作業
電気主任技術者又は作業責任者は作業員ほか関係者全員(もれなく)に復電の連絡を行います。
復電作業中は、作業員が不用意に盤に触れることがないように施錠を行います。
復電で「突然動き出す機械」もあるので、注意します。


2 停電作業の実例



(1)高圧盤のL1母線の停電作業


この区画の停電作業を行う場合の養生のについて
(1)L1母線とつながっている各遮断器を切りますが、点検する盤内にはケーブル端末を含め充電されていない状態を 作る必要があります。

(2)L1母線(E52L11)から受電している「C設備用受変電設備」をL2母線(E52L22)へ切り替えます。
①ループ接続が可能な場合
52LC2を「入」とし、52LC1を「切」、「引き抜き」ます。
その後、E52L11を「切」、「引き抜き」ます。
②ループにできない場合
遮断器52LC2を入れる前に「C設備用受変電設備」のプラントを停止し、52LC1を「切」とします。
その後52LC2を入れます。停電後、プラント復旧とします。

(3)L1母線(52L12)から受電している「B設備用動力設備」をL2母線からの受電に切り替えます。
①No.10・20の動力変圧器の2次側が接続できる場合
No.10動力変圧器の負荷の無停電の切替が可能です。
インターロック解除
52BTTのMCCBを入れます。
52BT11のMCCBを切りとします。
インターロック復帰
②No.10・20の動力変圧器の2次側が接続できない場
合No.10動力変圧器の負荷に停電が発生します。
動力負荷を一時的に停止します。
52BT11のMCCBを切ります。
この時点でNo.10動力変圧器の負荷が停電します。52BTTのMCCBを入りとします。
負荷を運転します。

(4)L1母線(E52L13)から受電している「B設備用照明設備」は他の給電ルートがないため停電となります。
このため、停電する範囲について事前の周知を養生が必要です。

(5)LG母線へ給電するため、E52B3、E52BG3を「入」とし、E52BLGを「切」、「引き抜き」とします。
これにより「A設備用受電設備」に給電します。

(6)遮断器E52S1、E52R1、E52BLG、E52B1、E52B12、E52B2を「切」とします。
電気的に誤動作しても投入されることがないように断路位置に「引き抜き」ます。

(7)特高変圧器の断路器E89P1は変圧器二次側遮断器E52S1とインターロックが形成されているため、 切れていないと断路できません。
E89P1は引き抜けないので「切」操作を行ったのち制御電源をOFFにして操作ロックをかけます。

(8)高圧盤内の清掃作業が必要な場合の接地工具の設置場所は、5箇所になります。
(なお、接地箇所数について異論があるかもしれません)

母線切替を無停電で行うための設備設計
無停電で切り替えるためには設備的な仕組みが必要です。
(1)処理場全体の設備は2種類(受電と自家発)の電源を有しています。
通常は電源の同期状態以外に 遮断器が同時に接続できないようにインターロックを組んでいます。
このため、無停電で遮断器を投入するためにはこのインターロックを解除する必要があります。

作業時は、これを周知の上、電源構成が受電側のみ(又は発電側のみ)で異種でないことを確認(理解)の上インターロックを解除します。

(2)C設備用受変電設備への電源供給とL1、L2母線などが並列回路構成することから、各遮断器及びケーブルが対応できる設計になっていることが必要です。
以上が満たされていない場合は、B及びC設備用受変電設備の切替は、切替時に設備停止を伴う停電が必要です。
(3)「B設備用動力・照明設備」では、No.10及びNo.20動力変圧器が並列運転を想定して製作されていることが必要です。



(3)高圧盤のブス母線の配置の注意


L1母線のように両側に遮断器が配置させている場合は問題ないのですが以下のように連絡遮断器が1台設定されている場合は 配置されている盤を点検する場合は、両側を停電させる必要あります。



高圧盤が列盤になっています。
順番に、作業していきますが途中にある接続遮断器盤は、内部の一部母線が充電しています。
このため絶縁抵抗測定はこの盤から測定してはいけません。
流れ作業の用に絶縁抵抗測定を行っていると、必要がなく危険な盤を開けてしまいそうです。


(3)C設備用受変電設備の停電例


この区画の停電作業を行う場合の養生のについて
この場合はC設備用受変電設備全体が対象になっているためバックアップ給電等の措置はとれません。 このため、設備の全ての機器停止が必要です。

(1)C設備の全てを停止させるようことができるようにプラント運用を行います。

(2)全機器停止後、遮断器52CT10、52CT20、52CT30を切ります。
設備に受電されていないため安全上の遮断器「引き抜き」は必要ありませんが、VCSの操作回路のPTが入っている場合、母線の線間の絶縁抵抗が測定で来ません。

(3)遮断器52LC1を「機側」、「切」、「引き抜き」を行います。
   遮断器52LC2を「機側」、「切」確認、「引き抜き」を行います。

(4)遮断器E52L11、E52L21を「機側」、「切」、「引き抜き」を行います。

(5)盤内清掃等の作業がある場合の接地工具の取り付け場所は2箇所になります。

(6)動力・照明が停電しても、UPS電源やDC電源は給電されています。
同電源を扱う分電盤盤の取扱には注意が必要です。


(4)低圧動力盤が母線と直接接続された負荷となっている場合の注意


受変電設備の動力・照明設備の停電例
この区画の停電作業を行う場合の養生のについて
(1)動力変圧器とつながっている遮断器(E52L12)を切り、遮断器を引き抜きます。
ただし、この状態では、分電盤の一部が隣の変圧器との連絡MCCB(52BTT)の一部が充電しています。
この部分を無電圧にするにはMCCB(52BT21)を切る必要があります。
(2)また、通常は接続されていませんがA受変電設備と接続している(52BT22、52AT21)が切れいることが 必要です。
(3)いずれのMCCBも手動操作の場合は問題ないのですが、電動操作の場合は操作電源を切るなど 誤動作しないようにしなければいけません。


(5)低圧動力盤の清掃作業の計画時注意



20系の動力変圧器と分岐盤は何とか点検できそうです。
ただ、2次側のバックアップ電動操作のMCCBの場合絶対に動作しない措置が必要です。


10系については、同様の作業はできません。
理由は、分岐盤内に10系側のブスがMCCBの2次側まで配置され、充電部があり危険なためです。

どうしても清掃など作業を行いたい場合は以下の20系の動力分岐盤の停電が必要です。
以下の2案がありますが、分岐盤だけを停電させても、動力変圧器に負荷がないので意味がありません。


同時に停電作業を行うのであれば20系の動力変圧器の一次側の高圧遮断器の養生を行うべきでしょう。


以上のように10系の分岐盤の清掃作業を行う場合には、20系の停電作業を含む作業手順書を作成する必要があります。
設備の運用的に許されるのであれば、20系も停電が必要であると考えると10系、20系を同時に停電させて清掃作業をいっぺんに行う方が合理的かもしれません。


列盤と違い、送りと受けのMCCBが設置されている各動力盤の場合は相手方の停電養生を必要としません。
列盤でもこの仕様にすれば個別毎の停電作業可能です。通常過剰仕様となるため取り付けられることはありません。
個人的には、設置しても良いように思います。


ただ、技術基準上は同室に動力変圧器が設置され散る場合は、各のケーブル引き込み盤に連絡用MCCBを設置する必要がありません。
このため、列盤と同じように作業をする場合は注意が必要です。



(6)間違や勘違いを少なくする工夫


写真

(1)静的な対応
①盤の遮断器名称の表記
設備名称や負荷名称としては大きなネームプレトに表示されますが標準の遮断器記号は操作ノブ等に小さく刻印されています。
停電作業等の手順書は、簡潔に表現するためにこの遮断器記号を使用します。
似たような名称が付くことがあり、間違いや勘違いをすることがあります。
このため、設備の更新や増設があった時点でテプラなどでわかりやすくしています。
また、目的別に色を変えるなどわかりやすさを考え工夫します。

この辺は、JEM等で統一されているようですが、設計時点で表記をしてくれるとありがたいです。
通常そのようになっていません。
なお、残念ながら自分が設計の立場のときは考えたことはありません。

②点検対象の高圧盤等の養生
通電されている高圧盤は必ず施錠を行います。
また、「操作禁止札」(大きな)をはりつけたり、注意テープで取り囲み勘違いや間違いを予防します。

この辺の養生は作業の場所の状況、高圧盤の配置等を考慮して行います。
高圧盤や機器の耐圧試験時は立ち入り禁止の柵を設け、通電がわかるような赤色回転灯を点灯させます。

例では、停電部と充電部が列盤になっているためより注意を喚起してます。
さらに、単線結線図などの作業場所がわかるようにしています。
結線図などは電気設備の操作などのために現場の高圧盤等に掲示しておくと緊急時に役立ちます。


(2)動的な対応
①作業内容の共有
電気主任者(又は作業責任者)と各担当は、作業説明会などで内容を共有し、手順書に沿って現場調査を行っておきます。
各担当者は自分の作業の重要性を持ち「責任者に任せておけば」のように無責任体制をならないことが重要です。

②作業責任者の明確化
停電作業などの作業を行う際には、作業責任者の指示により作業を進めます。
各担当者は必ず責任者が決めたスケジュールにより作業を進めます。
作業中に、手順書の不備などが生じた場合は必ず責任者と作業の善後策を検討した後に行うものとします。

③対象盤の解錠、施錠の管理の明確化
作業責任者、各担当者は事前に作業内容、場所の情報を共有していますが、作業責任者の許可を受けて盤の解錠、施錠は 決められた担当者が行います。

④作業工具の確認
使用する検電器などほメンテを行い。作業時に使用できないことがないようにします。
また、検電器は、1台ではなく、2台使用し作業時の信頼性を確保します。

停電作業時に使用する工具類(接地工具、作業工具、ウエス等)は作業前、後に数量を確認します。




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