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23 高圧機器の絶縁低下


自家用工作物なので、電気設備の点検で毎年絶縁抵抗の測定を行います。
低圧電気設備の絶縁抵抗の測定は、直営で行い、高圧電気設備の絶縁抵抗の測定(継電器試験を含む)については、専門企業に委託して測定を行います。
ただし、下水処理場の電気設備は、一般ビル配電などと違い配電が複雑なため、全てお任せにはできません。養生作業については、こちらで準備します。

高電圧絶縁抵抗測定で高圧メガで実施しますが、高圧機器の信頼性が高く長年ほとんど高圧の絶縁低下を目の当たりにしたことがありません。
そんな高圧電気設備の中でのレアケースで高圧コンデンサの話です。

絶縁抵抗値は毎年ほとんど変化がない中でコンデンサの絶縁抵抗が低下していました。
前年度まで徐々に低下していましたが特に低い値を示してはいませんでした。

点検では何もしない正常バイアスがかかります。「正常と思いたい」と思っていただけで 実際は、コンデンサの抵抗値としては低い値です。(因みにH○5年は正常に見えるのは測定に多少疑問があります。)
このため、対策もなくそのままとなっていました。

この年の測定で、10~50MΩの値がでてきました。
(なお、漏洩電流をざっくり計算すると約0.1~2mA(ざっくり計算)で漏電リレーは動作するまでには至っていませんが)
さすがに二桁の抵抗値に驚きました。このとき、コンデンサの絶縁抵抗の判定についてしらべましたが、特に記述はありませんでした。
電気関係の書籍で通常は、高圧コンデンサは1000MΩ以上との記述を見つけました。




絶縁抵抗がさらに低下する恐れがあるため、しばらくしてから直営で再度測定し、絶縁低下の部位を特定することにしました。
その際の数値は、一桁台となっており、早急な対策が必要な値でした。

まず、どの部分の絶縁抵抗が低下しているのか、端子台のケーブルを外したりして再調査を実施しました。
コンデンサのコンビネーションスタータ(VCS)は引き抜かれており絶縁は低下していません。

(1)VCSではありません。
(2)コンデンサ盤への引き込みケーブルを外しているので高圧ケーブルではありません。
   コンデンサへの給電側の端子台(R、S、T相)を外すと絶縁抵抗は改善します。
(3)コンデンサ側の端子台のR相とT相はCTがモールドされています。
   とりあえずS相の端子台を外すと絶縁抵抗が回復します。

以上のことから、給電側のR、S、T相の端子台及びコンデンサ側のS相の端子台の絶縁抵抗が原因と 判明しました。
ケーブルやコンデンサ本体の絶縁は劣化していないことがわかりました。





 

VCSの接続用端子台の絶縁が低下していることが判明しましたが、 コネクタは見た目にそんなに汚損があるように見えませんでした。

ただ、緊急に対策行うには他に方法がないのでとりあえず端子台を磨くことにしまいした。

端子台の部分はVCSが挿入されたときに適正な接触圧で接続されています。
ただ、取り付けたままでは作業性が悪く、うまく磨けません。
応急対応とはいえ、経験がない中、取り外すのは気が引けます。最終的に取り付け位置に印をつけて取り外しました。

かなりしつこく・しつこく磨いた結果、10~20MΩだったものが120~2000MΩに回復しました。

とりあえず、修理を行うまでの猶予を作ることに成功したため、翌年の早々修理工事を実施することになりました。

 

同じ時期に設置した高圧盤は数十面もあります。このため同様の端子台も百台を優に超えます。
幸いに他の高圧盤では絶縁低下はみられません。

この盤の端子台だけが絶縁劣化する状況に多少違和感がありましたが何せ30年以上経過しています。
とっくに時効が成立しているようです。

なお、端子台の修理の際、メーカーから既設の端子台の位置に若干のずれがあるとの指摘がありました。
理由を説明すると納得していました。やはり、同じ位置に、再設置するのは素人的には難しい。



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