水処理プラントの管理


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 故障・保守 (1 故障)

4 自家発のガバナ故障


1 故障の発生状況

写真

平成○年12月26日
その日は12月とは思えない雨が、昼間から降り続いていました。各設備は順調に稼働しいましたが、 雨水ポンプの運転に伴い常に自家発№10(定格4000kW)が運転し、その後、自家発№20(定格4000kW)も運転していたため、夜間の応援要員を 確保していました。
自家発は当然、同故障が発生するまで順調そのもので、今夜は楽勝と考えていました。
ここには掲載できませんが、いつも持ち歩いている点検用カメラで記念撮影をしていました。
撮影時刻は「22時37分」となっていました。
その後の悪夢も知らず、みんな笑顔でいい顔しています。

(1)23時04分
№10号自家発に故障発生。
自家発№10、№20号が並列運転中に監視画面の発電電力が突然№10号負荷が「0kW」、№20号が「4000kW」と表示。
自家発運転状況を確認したところ周波数は№10号が「45Hz」、№20号「45Hz」となっていました。 監視画面に、特にその時点での故障メッセージの出力はありません。

(2)23時15分
 №10号機が逆電力により停止後。「準備完了」となったため、自家発№10を起動したが「始動渋滞」故障が発生し起動出来なかった。

(3)情報把握しようと自家発室に走りました。

自家発は、№20が過負荷状態でも運転していて、蛍光灯が出力増加、低下に合わせて暗くなったり 明るくなったりしていました。
たぶん、ポンプが増速すると電圧が下がり、回転数が低下すると電圧が上昇しているようでした。
まさに異常な状態でした。

自家発№10を調査したところ、
№10のガバナの制御ロッドが破損しているのを発見しました。
まず、№20の自家発が危ないと感じたため、中央操作室に全速力で移動し出力抑制のため、雨水ポンプの減台とそれに見合った流量になるように 流入ゲートの開度調整を指示しました。また,ポンプ場の送水量の抑制も併せて行いました。 その後、№30(定格4000kW)が追加起動行い、一応負荷が安定するようになりました。が、ここで次の問題が発生。

2 №30号自家発の力率制御不良の状況
(1)23時18分頃
  №10号の代替えで№30号機を運転を行いました。
(2)運転当初から力率の配分が悪く
  №20 進み約60%、 №30 遅れ約50%
 2台で4000kWを超える負荷をかけると№30号の自家発の定格電流「458A」 を超えるため雨水ポンプの追加起動が押さえながら運転した。
 電圧調整を行ったが、操作ミスもあり、適正値に合わせ込むことができませんでした。

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3 №10号自家発対応
(1)応急対応 自家発を正常に戻すためまず、№10が応急修理可能か確認したところ、工夫で何とかできそうだということで作業を開始しました。
そのとき、使おうと思っていたロックナット(逆ネジ)が自家発配管の隙間に落下。最悪です。自家発室で100ホーン近い音の中。 また、深夜の作業です。ロックナットのネジは逆ネジ仕様で特殊です。予備はありません。配管下に潜り込み必死で探しました。
「あったー!」

(2)0時57分
 №10号自家発についてはガバナロッドの破損箇所を工夫して何とか修理して、再度運転にこぎ着けました。
なお、№10号自家発の機械ガバナの設定がロッド破損時に高め「約22.0」に移行していたため再度設定値を「14.1」に直して再起動。
力率は、通常に戻ったことを確認した。

(3)№30は、№10自家発応急修理完了に合わせて停止した。

(4)その後は、設備の安定運転を行い。監視データから外部への影響を与えること無く対応できたのが幸いでした。 もう少し、降雨が強ければ、危険だったかもしれません。

(5)なお、作業はこれで終わりではありません。当時の管理責任者は非常に厳しく(パワハラ上司)、その対応のため故障報告書を まとめておかなければなりませんでした。

4 故障のトラウマ
今回の故障では、寿命が5年ぐらい縮んだ感じがしました。故障は、予期せぬものとはいいながら、最悪の時に最悪のことが起こるといことでしょうか。 操作練度等対応度が高いメンバーだったので回避できたと考えています。別のメンバーだったらどうでしょう。

5 後日
後日、№20、№30との力率調整を確認したが、AVRでの電圧調整が可能で特に異常の無い状態であった。 なお、同機場の自家発には、無効電力制御(AQC)がなく、運転前に「手動」で電圧調整を適正に設定しておくことが必要がありました。
ちなみに、2台の自家発が並列運転している場合、1台の自家発の電圧調整で電圧を上げると調整している側の自家発は力率が遅れ、電圧を下げると力率が進むことになります。

6 故障原因
後日、メーカーにより破損したロッドの修理完了。設置後、30年近く経緯している自家発のため原因は金属疲労破断と思われるが、明確な見解は不明のことです。







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