水処理プラントの管理


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  設備 (受変電・自家発設備)

10 受変電・自家発設備(受変電設備)


処理場全体に動力を供給している非常に重要な設備で、電気なしでは一時も処理場の運転ができません。 このため、受変電設備の故障や保守にともなう工夫が設備に備える必要があります。


(1)受電方式

処理場は設備の停止が許されないため小規模の処理場を除き、特別高圧受電となります。 また、特高受電回線の点検、故障等の停電を少なくするため特別高圧受電の場合、2回線受電方式が標準です。
ポンプ場など、設備容量が小さい場合は、高圧受電となります。高圧配電は電力会社で別系統の2回線化が できていない場合が多いためほとんどの場合1回線受電となります。

処理場の設計の基本は、常に、常用・予備が確保されていることです。特高受電も2回線受電になっており、変圧器を含め 2系統がベストです。
従来、電力会社との取引用VCTは1組しか設置していません。電力計は1箇所の測定のための母線構成は1回路となっています。
当然ですがVCTが故障すると修理には時間を要します。その間、受電できないことになります。
特高設備のコストアップとなり、また運用上、常用2回線ではなく予備線側にも取引用VCTが取り付けてもらえるのか 電力会社に未確認です。
ただ、処理場の重要性からVCTについても2系統とすべきではと、机上の空論的には考えます。




(2)受電設備新設

処理場の特高設備の新設の場合、各電力会社との調整が2年以上を要します。東北大震災以降、各電力会社の運営状況は 悪化しており、設備の負担等の調整に時間がかかるためです。 計画が出た時点で、早期に調整が必要な事項となります。
高圧受電に関しても、時間がかかることを計画に織り込む必要があります。



(3)母連系統の構成

母連は、ピークカット制御や保守・故障を想定し2台の変圧器で受電している場合は、ループ給電になるようにします。ただし、通常運用は、1箇所の遮断器 で切り離しておきます。


母連遮断器は自家発系、受電変圧器が2系統ある場合を想定し給電する負荷によりますが、3分割以上に設定します。
受電変圧器が1系統であっても、最低負荷は自家発系と受電系の1系統の場合2分割でよいことになりますが 自家発電設備でピークカット制御を行う場合、自家発系の負荷を超える部分をピークカットした場合、全電力が自家発電給電 となってしまいます。

例 母線系統1→2分割、母線系統2→3分割、母線系統3→4分割
分割が多いほど自家発給電のピークカットの範囲を調整できます。(自家発故障時の範囲を限定できます。)



(4)給電方式

給電方式は、各設備が電気設備の工事・点検時に停電範囲が少なくなるように工夫しています。
①ループ給電
給電時、ループで供給されないように1箇所の遮断器は「開放」しておきます。
ループがすべてつながった状態にすると、ピークカット制御で異種(自家発給電・受電給電)の電源になったとき 短絡状態になります。

通常の考えは、安全を考慮しインターロックとすべきですがインターロックに組み込んでしまうと電源の保守点検時、 無停電で母線の切り替えができなくなります。
一つの発想としては、ループは一定時間(60秒)しか許容しない。遮断器の切り替え時間は60秒あれば十分とる 考えもあります。
操作員にゆだねるか、強制時にするか、悩ましい問題です。
個人的には少人数で作業することを考えると、60秒は必要ないと考えますが、トラブルを経験する と考えが変わるかもしれません。

また、ループ時の各遮断器の短絡容量は、計算しなければ最終的にはわかりませんが、負荷から見て並列回路となるため 短絡容量が大きくなります。一応、母線と同じ遮断容量が必要と思われます。


②個別ループ給電
各負荷を母連と直結しているためコスト的に上昇します。また、負荷を無停電で母線を切り替える場合、 ケーブルのサイズと遮断器の遮断容量をあげないといけないようになります。 また、負荷への給電用のケーブル本数が増加します。
容量の大きい負荷(ポンプ・送風機)は個別ループとしてもよいと思いますが その他の設備は、通常のループ給電でよいと思います。




(5)給電電圧

給電電圧は高くなるほど省エネになります。
受電66,000V、高圧配電6,300V、低圧配電400Vが主流です。
ただし、過去、高圧配電3,300Vの電動機を使用しているポンプ、低圧200Vで給電していた場合は、 設備全体を同時に更新しない限り残り続けることとなります。
なお、低圧設備の給電電圧に注意が必要です。
過去、給電電圧が3φ400Vであるのに、3φ200V仕様の設備機器が工事で据え付けられ、一度ではないゴタゴタが発生しています。
これは、よくある事例です。他部署に設計を依頼する建築関係(換気ファンや空調機等)はまだ3φ200Vが主となっていることに よりますが、「双方のコミニケーション不足」「設計側の現場設備の理解不足」によるものです。



受変電・自家発スケルトン 例

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