6 滅菌設備
最終沈殿池から流出した処理水(もう下水ではない)は次亜塩素酸ソーダ(12%)を適量注入し、
滅菌処理を行います。なお、反応タンクの水処理で適正に行われていれば、滅菌処理が必要ないぐらいの水質
になります。
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(1)水質基準の維持
BOD、CODの基準指標(25mg/L以下)と大腸菌群数3,000以下となることが要求されますが、この数字は、かなり悪い水質
です。通常は、大腸菌群数は数十から数百に処理されているはずで、異常がなければCODも10mg/L以下に処理されるようです。
このため、滅菌を必要としないレベルとなっています。
大腸菌群数につては、リアルタイムの把握が困難なため、本来、注入が必要でない時も全国の処理場で大量に注入されていると推察されます。
(2)滅菌薬品の特徴
処理水の滅菌に使用する次亜塩素酸ソーダは、浸透性が高い上、金属に対する腐食性を有てします。間違って酸と反応させると塩素ガスが発生します。
また人体にも付着すると皮膚を冒すため危険です。このため、修理等のメンテ時の取り扱いには防具などを使用した注意が必要です。
(3)滅菌設備の部材
①タンク類
FRP系のタンクが使用されたり、さらに、タンク内面を塩ビ板で張った二重構造のものもあります。
②配管類
配管類は、硬質塩ビ配管が使用されます。バルブ及びフランジ類も同様です。ボルトはステンレス製が使用されますが、設置後2~3年でフランジのパッキンの劣化
とともにボルト類が腐食し始めます。
③薬品注入ポンプ類
少量の注入の場合は定容量ポンプを使用し、注入量が大きくなる場合は電動機の回転数制御が可能なモーノポンプ(兵神装備)がよく使用されます。
電動機の回転数制御は、過去、渦電流継手方式の電動機が使用されていました。電動機の停止時間が長いと内部の継手が固着し注入量が
過大になるなどのトラブルがありました。現在は、VVVF方式が一般的となっています。
(4)滅菌設備の工夫
①防疫堤
底部に緩やかな勾配をつけ排水ピットに誘導されるようにします。また、排水ピットの排水配管はピットの底に設置し、
排水時ピット内に液がの残らない構造とします。
②薬品タンク
引き抜き管、排水管はタンクの底部に可能な限り下に取り付け、排水時に薬品が残らない様にします。
③配管
次亜鉛素酸ソーダは停止中にも気泡が発生します。このため、空気だまりができないような構造と、排気ができる構造にします。
また、メンテを行った際、バルブの開け忘れ、閉め忘れを防止するため、開閉が一目でわかる構造のバルブを採用します。
本来、配管からの漏洩が始まると状況により個別修理、本格修理、更新となりますが、タイムリーに修理できず往々にして
修理期間が長くなります。注入場所までの配管については、メンテ上の考慮から予備配管(塩ビ配管の場合安価)
が設置されていると、常用配管の漏れ修理がしやすくなります。
なお、経験的には、個別修理は、設置後5年ぐらいで始まり、本格修理で10年、更新で15~20年程度となります。
④搬入口
搬入口の漏洩を考慮して、搬入口配管の垂れを受け止める様に受け皿を設置します。また、薬品搬入ホースがはずれた際のコンクリートの
漏洩堤を設置します。
⑤洗浄水
漏洩時や作業者への飛散を考慮し、洗浄用の水道を設置します。
⑥車止め
搬入時に、搬入配管等を損傷させないように「車止め」を設置します。
水質基準(参考)
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